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ヘタリア大帝国
TURN40 雨の少女その六
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「戦艦の中でも宇宙でもな」
「雨が降るんですか」
「この娘のいるところはな」
「す、すいません」
 フェムは申し訳のない顔でイギリスとネルソンに頭を下げる。
「私、どうしてかいつも急に」
「雨が降るのだね」
「私のいるところはこうなるんです」
「雨女なのかな」
「よくそう言われます」
 その何処か蛙に似た顔での言葉だった。
「何か祟りがあるんじゃないかって」
「どうなのかな。けれどね」
「けれど?」
「このことは君のせいではないよ」 
 ネルソンは優しい微笑みでフェムに話した。
「君の気にすることじゃないよ」
「けれどこうして実際に」
「君が意識して雨を降らせてる訳ではないね」
「そんなことはとても」
「そうだね。それならね」
「私のせいじゃないからですか」
「気にすることはないよ」
 こう言うのだった。
「むしろこの雨は」
「私の雨がですか」
「戦いに使える。できるよ」
 彼は微笑んで言うのだった。こうだ。
 イギリスにもだ。こう言ったのである。
「そういうことですね」
「流石だな。わかってくれたか」
「はい、雨により視界やレーダーの反応を遮り」
 そうしたものがだ。雨により遮られるからだ。
「ビームの威力を弱めてくれますね」
「艦載機だって攻撃が正確じゃなくなるな」 
 そちらも視界やレーダーを頼りに動く。だからだ。
「ミサイルも鉄鋼弾もな」
「とにかくあらゆる攻撃がそうなりますね」
「だからな。ここでの戦いではな」
「フェム=ペコさんだったね」
「はい」
 そうだとだ。フェムはネルソンの問いに頷いて返す。
「宜しくお願いします」
「君のこの力で敵の攻撃力を半減させてくれるかな」
「あの、私を使ってくれるんですか」
「むしろ君の力を借りたい」
 ネルソンはフェムに勝機を見ていた。そのうえでの言葉だった。
「そうしてくれるかな」
「私でよければ。ですが」
「ですが?」
「お願いがあるんですけれど」
 そのおどおどとした調子でだ。フェムはネルソンに言ってきた。彼の顔を見上げて。
「いいですか?」
「何かな、一体」
「この戦いでエイリス軍が勝てば」
 その時はだというのだ。
「祖国さんや国民の皆の待遇をよくして下さい」
「このベトナムの」
「皆困ってるんです。その」
「わかっているよ」
 正義を愛する騎士提督としてだ。ネルソンは答えた。
「安心して欲しい。女王陛下は必ず君達の働きに応えてくれるよ」
「そうなんですか」
「女王陛下は約束を破られる様な方ではないよ」 
 これはセーラの美点の一つだ。確かに融通が効かず生真面目に過ぎるが相手が誰であろうが約束は決して破らず偏見もない。それがセーラなのだ。
「だからね」
「安心してですか」
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