暁 〜小説投稿サイト〜
『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
そうしてあたしは、運命と出会う
[3/4]
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
。
と、あたしがオーロラを見上げていた時、
後ろからジャリ、と足音がした。
生存者だろうか。
反射的に振り向いてみればそこには、
「は…?」
そこにいたのは人間じゃなかった。
言うならば化物。
それは動物のどれにもあてはまらなくて、どれにもあてはまった。
ライオン、ヤギ、そして尻尾が蛇の頭という架空上の生き物。
キメラが、そこにいた。
「っ!!」
ライオンの口から煙のようなものが吐かれ、反射的に後ろにステップして避ける。
当たればやばいと嫌な予感がしたが、それは的中していた。
瓦礫が見事に溶けている。
そのまま振り向き、駆ける。
逃げなきゃやられる。
直感がそう伝える。
頭の整理ができていない。
だが、その前に身の安全だ。
なぜこうなった?なぜ化物がいる?なぜ?
疑問だらけだが、一つ分かったことがある。
電車から出ていった人達はあたしや遺体をそのまま置いていったんだ。
こんな状況で、人に気を配れる余裕なんてない。
自分だけで精一杯だ。
だがそれが分かったとて現状況が変わるわけじゃない。
それらを頭の隅に追いやって走ることに集中する。
途中根に足をとられかけるも、なんとかバランスを保って転ばず走り続ける。
キメラは追ってきている。
獲物をそう簡単に逃がすまいと、あたしを追いかけてきている。
向こうも生きるために必死なのかもしれない。
だが、生きるためならあたしの方が必死だ。
こんなところで無惨に食べられて苦しみながら死ぬのはゴメンだ。
この先どうするべきか、後のことは何も考えていない。
ただ今を生き残る。
それだけを考えて走ってる。
だが、
その逃走もこの瞬間終わった。
「いっ…!?」
ふくらはぎに走る鋭い痛み。
何かと思い見てみれば、そこには蛇が噛みついていたのだ。
そうか、
追いかけても捕まえられないと分かったから、"毒"で仕留める作戦に変えたんだな。
キメラは瞬時に尾を伸ばして、逃げられないよう脚に毒を注入した。
そして痛みに耐えきれずあたしは転倒。
走っていた勢いをそのままに、派手に転んでしまった。
「う…うう…っ!」
鋭い痛みの直後、焼けるような痛みが襲う。
両手でおさえても、血は止まらないし痛みもおさまらない。
そしてキメラは、もうすぐそこまで来ている。
足をひきずって後ずさる。
せめてもの抵抗で石ころを投げつけ睨み付けるも、キメラは特に気にしなかった。
心なしか笑っているような気さえする。
じりじりと少しずつ近寄ってくるキメラ。
後退り続けるも、背中に壁がぶつかった。
逃げ場はない。
あったとしても、もう逃げ切れない。
「ちっくしょ…ぉ!」
悔しい。
これであたしは死ぬのか。
何も
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ