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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
そうしてあたしは、運命と出会う
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ックに陥った乗客達の叫び声の中、あたしはそう確信してポール、つまりは握り棒を両手でがっしりと掴んで衝撃に備えた。
そう、落ちているのだから
これから地面にぶつかった衝撃が来る。

人を乗せた鉄の塊はアスファルトの地面に落下。
想像以上の衝撃に揺さぶられ、なんとか耐えようとしたが電車は横転。
握り棒からその手は離れ、あたしは見事にそこから投げ出された。


?

「いった…。」

目が覚めると、頭上には電車の座席。
起き上がると頭がズキズキと痛む。
どうやら投げ出され、頭を打って気絶していたらしい。
痛む額をおさえれば、今度はぬるりとした感触。

血だ。
でも出血は止まっているみたいだ。
スーツの裾で顔に垂れた血を拭い、まずは立ち上がる。

あたしの他に乗っていた乗客達は…いない。
いや、強いて言うならば"いた"
こじあけられたドア。ということは救助が来たんだろう。
そして残されているのは、落下の衝撃で不幸にも死んでしまった人達。

ここであたしは疑問に思った。
事故が起きたのなら救助隊は来るだろう。しかし何故あたしは病院ではなくここにいる?
スマホを確認してみれば時刻はすでに夕方。
つまりあたしはこの死体達と一緒に、三時間近く放置されていたことになる。

ともかく身体は無事。軽いかすり傷くらいだ。
何故こうなったのかを確かめるため、あたしはこじあけられたドアから外へと出た。


「なんだよ…これ。」

その先は、信じられない光景が広がっていた。

なんの植物か分からない巨大な根がアスファルトを押し上げ、道路は車がロクに走行出来ない有り様だ。
建物は倒壊。
いくつものビルは倒れ、都会にかつての面影は微塵も残っていなかった。
そして、

「…!」

瓦礫に寄りかかっているのは、人。
だが死んでいる。しかしその死に様は電車の中の人のそれとは比べ物にならない。

脇腹から臓物が出ている。
そこから引きずり出されたように伸びている腸のようなもの。
そんな凄惨な光景にすぐさま吐き気が吐き気が押し寄せ、あたしは目をそらした。
だが、目をそらした先にも死体はあった。
それもまともではない。
まるで何か、猛獣にでも襲われたかのような…。

「…。」

空を見上げる。
視線の逃げ道が無かったからかもしれないが、ふと見上げてみた。
群青色の空。しかしそれはどうにもおかしい。
カーテンのように揺らめくもの、オーロラが空にあるのだ。
日本で、しかもそれが関東地方で観測できるなんて聞いたことがない。

あたしは夢でも見ているのだろうか。
けど、それを否定するかのように額の傷がズキリと痛みだす。
これは夢じゃない。れっきとした現実なんだぞと伝えるかのように
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