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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
そうしてあたしは、運命と出会う
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東京。
色々な人が忙しく歩いている。
あたしはこういう人混みは嫌いだ。
人がたくさんいるところというか、あえて言えば都会がどうしても苦手なのだ。
これから毎日こういった人混みの中を歩いたりとか、朝の通勤ラッシュとかでもみくちゃにされると思うと気が滅入る。
それはそれとしてどうしてそんなあたしがわざわざこんなところにいるのかと言えば、仕事を探していたからだ。
要は就職活動。
何故過去形なのかと言われればそれは今さっき終わったから。
新聞の会社の面接に無事受かり、明日からあたしは正社員となって社会人デビューする。
本当は、新聞なんかよりもずっとやりたいことはあったんだけどね。
お母さんに夢だけじゃ生きていけないって怒られて、渋々諦めた。
「…。」
そろそろ帰ろう。
今日はもう早く帰って、明日に備えるとしよう。
そう思い、あたしは駅に向かって歩き出した。
その明日が、来ないとも知らずに。
?
電車内。
乗客のほとんどがスマホとにらめっこをしている中、一人だけそうでない女性がいる。
あたし、
源 葵
(
みなもと あおい
)
だ。
つり革に手をかけ、もう片方の手で器用に本のページをめくっていく。
別にスマホを持ってない訳じゃない。
ちゃんと持ってるし、なんならゲームもしてる。
ただあたしは本が好きなんだ。
本をたくさん持っていたおばあちゃんの影響もあって、小さい頃から本ばかり読んでいた。
小学生になってからはとにかく小説を読みあさり、次第になりたい夢も決まっていった。
小説家。
それがあたしの夢だった。
葵ならきっとなれるさ。
おばあちゃんも最期まで、あたしの夢のことを応援してくれた。
でも、現実は難しい。
なれたとしても決して楽じゃないだろう。
それは勿論分かっている。
それでもなろうとしたけど、やはりそこは両親に猛反対された。
あたしの人生なんだ。好き勝手にさせてくれよ。そういう時にだけ口出ししてさ。
そう言いたかったけど、我慢した。
面倒はそんなに見てくれなかったけど、一応育ての親だし。
「…はぁ。」
自然とため息が出る。
これからどんなことをするんだろう。
就職先はアットホームで笑顔の絶えない明るい職場なんて言ってたけど、ブラックなところなんじゃないだろうか?
行きたくもない飲み会とか誘われたり、女性だからと軽視してくる古い考えの上司とかもいるかもしれない。
気が滅入る。
こんなことなら、
この世界、一度滅びて何もかも無くなってはくれないだろうか、
そう、思ったときだ。
「!?」
電車が、大きく揺れた。
その直後、轟音と共にやってきたのはほんの一瞬の浮遊感。
そうか、この電車は今脱線し、落ちている。
パニ
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