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ストライクウィッチーズ 流星の白虎と暴れ馬のウサギ
第2部
取り残された者達……。前編
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おかしくないはずだ。
だが、陸戦ウィッチ隊が上陸する方向にさえ、警戒及び迎撃に当たるネウロイが一体も見えないのだ……これは明らかに妙だ。

(まさか罠か……?)

不気味な静寂に包まれたディエップの海岸を目の当たりにし、そんな不吉な予感が胸の内を過ぎった俺は直ぐに行動に出た。
「通信兵、こっちに来い。緊急連絡だ」
俺の呼び出しに通信兵が「はい」と言葉短く返しつつ、無線機を背負った状態でやってくる。
やってくるなり、俺は直ぐに無線機の受話器を取り、直ぐに今回の作戦司令部にして、作戦司令でもある戦艦プリンス・オブ・ウェールズの艦長に連絡を入れる。
「ナイトから、ロイヤル1へ。繰り返す、ナイトから、ロイヤル1へ、応答願います」
『こちらロイヤル1艦長。ジャック中佐、どうした?』
「妙です……敵に一切の動きがありません。状況的に何かしらの動きがあるはずですが、それが一切ないんです……」
俺の子の報告に対し、『……ふむ』とプリンス・オブ・ウェールズ艦長が呟くのを聞きつつ、俺は続けざまにこう提案する。
「艦長、作戦に関わる指揮官の一人として作戦の中止を進言します。これはきっと罠です。今やめないと取り返しの付かない結果になる可能性があります。作戦の中止を」
『いや……、それは出来ない』
「なぜですか?このままでは計り知れない犠牲者が……」
『もう既に陸戦ウィッチ隊を乗せた上陸用舟艇がディエップの海岸、沖合2キロまで接近している。今、彼女たちを引き換えさせたら、その場で全滅する可能性もある。このまま作戦を続行してくれ』
「……それは命令ですか?」
『そうだ……、これは命令だ。あと10分で陸戦ウィッチ隊の上陸が始まる。それと同時にコマンドは当初の予定通り、側面からの攻撃を開始せよ。艦隊としてもできる限りの砲撃支援などを行う。無茶を言う様だが……頼むぞ、ジャック中佐』
「っ……了解っ!」
まるで吐き捨てる様に言い放った俺は無線機の受話器を荒々しくガチャン!と無線機に収める。


その様子を見て、部下一人である大尉が双眼鏡を手に俺に問いかけてくる。
「艦長は何と?」
「”作戦は続行……10分後に陸戦ウィッチ隊の上陸が始まるから、予定通り、側面からの攻撃を開始せよ”との事だ」
「……そんな」
俺の言葉に絶望した様な表情を浮かべる大尉。
そりゃそうだ……明らかに罠と分かってながら、真正面から突っ込むんだ。もはや、自殺行為以外の何物でもない。
大尉の顔を見て、そんな事を思いつつも、俺は自分に言い聞かせ、奮い立たせるようにこう言い放つ。
「命令だ、やるしかないぞ……。陸戦ウィッチ隊の上陸用舟艇は見えるか?」
「はい、双眼鏡で確認できます」
そう報告する大尉に対し、短く「貸せ」と言って双眼鏡を借りた俺が海岸の方に視線を向けると
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