TURN40 雨の少女その五
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肌は少し日焼けした感じで身体つきは幼い。長い少し癖のある黒髪を後ろで束ねている。目はディープブルーで大きいが少し垂れた感じになっている。口は大きく可愛らしい顔立ちだが全体的に蛙に似た雰囲気を見せている。頭には可愛らしい花もある。
服はイギリスの言う通り白いアオザイとライトブラウンの網笠だ。その少女が名乗ってきた。
「フェム=ペコです」
「ペコさんですか」
「はい、そうです」
「そうですか。見たところ」
そのベトナム風の涼しげな家の中を見回してだ。ネルソンはイギリスに対して言った。
「あまりおかしなところはないですか」
「そう思うだろ」
「はい、別に」
「ところがな。そろそろだな」
「そろそろ?」
「来るからな」
言いながらだ。イギリスはレインコートを羽織った。
それからだ。ネルソンにあらためて言うのだった。
「あんたもな」
「私もですか」
「すぐに傘なりレインコートなりな」
「雨に対する備えをですか」
「ああ、してくれ」
こう言うのだった。
「さもないと風邪をひくぞ」
「どういう事情がわかりませんが」
ネルソンは首を傾げさせながら述べた。
「ですが。祖国殿のお言葉なら」
「俺も悪いことは言わないさ」
エイリスの者にはだ。国家が国民に対して悪いことを言う筈がなかった。少なくとも自国民に対してはだ。
「だからな。すぐにな」
「わかりました。それでは」
こうしてだ。ネルソンは傘をさした。それからだった。
二人はフェムに対してだ。こう言ったのだった。
「じゃあ今からな」
「お話をしたいのですが」
「私にですか」
「ああ、別に取って食ったりはしないさ」
イギリスは笑ってユーモアを出しもした。
「だから安心してくれ」
「そうですか」
フェムはびくびくしている感じだがイギリスにそう言われて少し落ち着いた。
「それなら」
「お茶淹れるぜ。あと俺が作ったお菓子も用意するからな」
「それはいいです」
「んt?遠慮する必要はないんだけれどな」
「祖国さんが言ってました」
この場合はベトナムのことだ。その今姿が見えない彼女である。
「イギリスさんのお料理はこの世のものとは思えない位まずいと」
「おい、あいつそんなこと言ってたのかよ」
「だから食べるな。死ぬ程後悔すると」
「あいつ根も歯もないこと言いやがって」
イギリスだけはそう思うことだった。イギリスは目を白くさせて怒った顔になっていた。
「今度会ったらよく言って聞かせてやる」
「まあまあ。怒られるのはそれ位にして」
ネルソンが穏やかな顔でそのイギリスを宥める。
「お話といきましょう」
「そうだな。もうすぐ太平洋軍が来るからな」
「この方ともお話をして」
「決めるか」
「あの、ですが」
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