第二部
破られた壁
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親善試合の代表選手となった《立華紫闇》は黒鋼の屋敷へ向かい、クリスの『改造』が何処まで進んだのか確かめる。
「お疲れ紫闇」
「代表おめでとう」
《黒鋼 焔》と《永遠レイア》が祝福した。
「それよりもクリスは?」
焔は無言で顔を向ける。
其処には魔晄防壁を【盾梟】へと変化させ、トラウマで握れなかった近接武器を手に持つ金髪の美少女。
「おお……!」
どうやら姉エリザへのトラウマは完全に克服できた上に強くなったらしい。
紫闇は思わず頬が緩む。
「クリスさんを改造した私が言うのも何だけどちょっと強くなり過ぎた。肉体的・精神的に留まらず、魔術師として本来の力を出せるようになっただけでなく、【超能力者】としても覚醒してしまったからね」
レイアによると、恐らくではなく確実に《エリザ・ネバーエンド》を超えており、異能無しで戦えば紫闇に匹敵するかもしれないらしい。
「そう言えば気付いてたかい紫闇? クリスって今までただの一度として【異能】を見せたことが無いんだよ? 試合だけでなく普段の訓練ですらね」
焔に言われた紫闇はハッとした。
自分や焔のように【規格外】以外の外装型は魔術師としての特殊能力を宿しているものだが紫闇の記憶にはクリスの異能らしい異能は覚えが無い。
武器や兵器の形をした外装を大量に出すのはあくまで複数の外装を出せるという【特質型】の外装型が持つ特徴にしか過ぎないのだから。
曰く、異能は有る。
しかし使えなかった。
魔術師が異能を発動するには外装に魔晄を流し意識を集中させるのだが、雑念が有ると本来の性能が発揮されない。
紫闇が選抜決勝で戦った4年生の1位が良い例で、彼は紫闇が近付いたことで恐怖を感じ、離れた所から使うよりも爆発が小さくなってしまっていた。
「彼女の異能は強力だったよ。超能力もなかなかに面倒な代物さ。レイア兄さんが思わず笑ってしまうほどにね。あたしも兄さんに外装を改造してもらって異能を使えるようになったから解る。嬉しいよ〜?」
「俺が憧れてる大英雄の《朱衝義人/あかつきよしと》は誓いや約束を必ず守る男だったと聞いたからクリスを強くするっていう誓いを守れて良かった。レイアさんが居ないと間に合わなかったな」
クリスは紫闇を見ながら思う。
強く在ろうとしてエリザの真似。
間違いだった。
自分は大馬鹿だと。
他者と壁を作り孤独に向かう。
自分の弱さを否定。
クリスが強くなる為にはその逆。
己が欲求に従い友達を作って大切な人と出会い自らの弱さを受け入れることがエリザを超える為に必要なことだったのだ。
(私《クリス・ネバー
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