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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第28話:狂宴の幕開け
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していた。

 だがよくよく考えてみると、現時点で自分は大して物を持っていないことに気付く。
 バッグの類は持っていないし、身に付けている物と言えばギアペンダントくらい。だがそれも持っていかれた形跡はないと来ている。

 失せ物忘れ物と言う事は、何かが無くなっているという事だが──?

「あれ? 奏さん、ちょっと……?」
「どうした?」
「ちょっと失礼します」

 何かに気付いた様子の響。奏がどうしたのか問い掛けると、それには答えず響はそっと奏の脇を覗き込み──────

「ひゃんっ!?」

 徐に奏の胸を横から突いた。その瞬間の感触、服越しに伝わる胸を突かれる感触に奏は一瞬変な声を上げてしまう。

 突然の事に奏は響に文句を言おうとしたが、その直前胸に感じた違和感に彼女も気付く。

「響ッ!? なに、す…………ん?」
「奏さん……下着、は――――?」

 その違和感の正体…………それは、服の下に下着の感触──ブラジャーの存在を感じ取れなかったことだ。もしあれば響に突かれたとしてもここまでダイレクトに感触は胸に伝わらない。
 試しに自分で服越しに胸を触ってみると、服と胸の間にある筈のブラジャーの存在が感じられなかった。

 恐る恐る衣服の胸元を引っ張って見てみると…………そこには服のすぐ下にある、肌色の双丘が…………。

「は…………颯人ぉぉぉっ!?!?」
「あっ!? 待ってくださぁぁぁぁぁい!?」

 衣服しか押さえるものが無くなった為、激しく動くと左右に揺れる胸を腕で押さえながら颯人を追いかける奏。響も慌ててその後を追い掛ける。

 大事な作戦前だと言うのにまたしても始まった2人の追いかけっこ+αに、弦十郎は軽く頭痛を覚え額に手を当て、了子は楽しそうに笑みを浮かべるのだった。

 因みに──────颯人はそれから数秒と経たず奏に発見され、彼の口から消えた奏のブラジャーは響の上着のポケットに入っている事が明かされた。
 下着無しの胸を放置することは出来なかった為、仕方なくトイレで響にブラジャーを返してもらっている間に颯人にはまんまと逃げられてしまうのだった。




***




 翌日の朝5時、颯人達は予定通りに移送任務を開始した。

 颯人は愛車のマシンウィンガーに、奏と響は了子が運転する車にデュランダルを入れたケースと共に乗っていた。いざと言う時、直ぐにデュランダルと了子を守れるようにする為だ。

 尚今回の任務では、弦十郎もヘリに乗って上空から直接指揮している。いざと言う時、より迅速に指示が出せるようにだ。

 そんな中、奏はあることに不安を覚えていた。
 今日になってから、颯人が嫌に気が立っているのだ。

 明確に不機嫌と言う訳ではない。
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