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ヘタリア大帝国
TURN39 怪獣姫その八
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「しかも騎士提督にイギリスさんもとなるとね」
「勝てませんね」
「ええ、とても無理よ」
 マレーシアは冷静にだ。戦局を見極めて述べた。
「だからここはね」
「はい、そうですね」
「撤退よ」 
 すぐにだ。マレーシアはこの決断を下したのだった。
「戦っても勝てるものではないわ」
「では」
 こうしてだった。マレーシアはすぐに撤退にかかった。その時に機雷を撒くことを忘れなかった。その機雷を見てだ。
 イギリスはモニターからネルソンに対して言った。
「機雷撒かれたけれどどうする?」
「追撃ですか」
「ああ、マレーシアの奴は撤退したけれどな」
「これ以上私達に追われない為にですね」
「追撃するか?それでも」
 イギリスはあらためてネルソンに尋ねた。
「そうするか?」
「いえ、止めておきましょう」 
 ネルソンは気品と知性に満ちた微笑みでイギリスにこう答えた。
「マレーは最早敵地ですし」
「だからか」
「はい、敵の援軍が来る可能性があります」
「そうだな。下手に追うと危ないな」
「ですから。ここはです」
「これで帰るか」
「そうしましょう」
 これがネルソンの言葉だった。
「ここは」
「わかった。それじゃあな」
「マレーシアもあれではすぐに艦隊を修理しますし」
 マレーの虎には修理工場もある。それでだった。
「太平洋軍は全軍でベトナムに来るでしょう」
「決戦の場はここか」
「はい、そうなるかと」
「よし、それじゃあな」
 それならだとだ。イギリスは楽しげな笑みを浮かべてこう言ったのだった。
「日本を退けるか」
「今の時点で東南アジア、オセアニアの殆どを喪失しています」
「ああ、それも永遠にな」
 イギリスはネルソンの今の言葉には苦々しい顔で述べた。
「何処も独立してそれをな」
「ガメリカと中帝国に即座に承認されていますからね」
「あいつ等、同盟国の癖に遠慮しねえな」
「仕方ありません。同盟を結んでいるからといって利害が一致しているとは限りません」
「あいつ等な。同盟を結んでいてもな」
 どうかとだ。イギリスは己の乗艦の艦橋において苦々しげな顔で述べた。
「敵だからな」
「はい、彼等もまた太平洋経済圏の設立を謳っていますから」
「その為にはエイリスが邪魔だからな」
「植民地そのものが」
「だからな。あの手この手っていうかな」
「日本が殖民地を占領すればです」
 そしてそこを独立させれば即座にだというのだ。
「独立を承認しますから」
「何かな。それだとな」
「日本と彼等は共犯だというのですね」
「そうなってるよな。実際にな」
「それが太平洋での戦争の実態ですね」
 そうした意味でドクツとエイリスの全面戦争である欧州やアフリカとは戦争の性格が違っているのだ
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