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ヘタリア大帝国
TURN39 怪獣姫その六
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 総督もだ。こう言ったのだった。
「じゃあ案内するね。四国にね」
「頼む。では行こう」
「それで富嶽のこともわかればいいのですが」
 日本にとってはかなり切実な話だった。
「ではその為にも」
「ああ、行こう」
 東郷は日本にも応えてだ。そのうえでだった。
 彼等は四国、その大怪獣が腹にしているその星に入った。そこは海が多い快適な星だった。そこに入ってだった。
 白い髪に眠りから醒めた様な緑の目、白い半裸の身体のあちこち、顔に至るまで赤い刺青を入れた見事な肢体の女が総督とオーストラリアに紹介された。女はその白い波がかった長い髪を触りながら東郷達に名乗った。
「トルカ」
「怪獣姫だったな」
「そう。怪獣と一緒に生きているの」
 その通りだとだ。トルカも東郷に答える。
「私もまた」
「そうか。ではだ」
「では?」
「君はどうしてあの大怪獣を統制しているんだ?」
「統制はしていないわ」
 トルカは抑揚のない、浮世離れした口調で答えていく。
「話を聞いているだけ」
「怪獣の話をか」
「そう。それで怪獣と話をしているだけだから」
「君は怪獣の言葉がわかるのか」
「言葉ではわからなくても」
 だが、だ。それでもだというのだ。
「頭の中で話をしているの」
「つまり心でか」
「そう。その中で」
 彼女は大怪獣と話をしているというのだ。
「そうしているの」
「そうなのか。それで怪獣を宥めているのか」
「あの子はいい子」
 トルカは怪獣、四国と共にいる大怪獣についてこう述べた。
「何もされないと怒らない。人間も他の動物達も大好き」
「では人間との共存もいいのか」
「共存?」
「一緒に暮らすということだ」 
 東郷はトルカが共存という言葉には首を捻ったので簡単に話した。
「それもいいのだな」
「いい。あの子は皆が大好きだから」
「それでなのか」
「食べるものは宇宙の塵で充分」
 銀河に無限に漂っているだ。それでだというのだ。
「ただここにずっといたい。それだけ」
「暴れるつもりはないんだな」
「何もされないと」
 かつてエイリス軍がここに来て不用意に攻撃した時の反撃のことだった。怪獣が暴れたのは記録、アボリ人の伝承も含めてそれはこの時だけだった。
「何もしないから」
「そういう怪獣もいるんだな」
「怪獣といってもそれぞれ」
 富嶽やエアザウナの様な大怪獣だけではないとだ。トルカは話した。
「あの子は大人しい」
「そうなのか。それでだが」
「それで?」
「あの怪獣はどうして生まれたんだ?」
 東郷は怪獣のルーツについてもトルカに尋ねた。
「そのことはわかるだろうか」
「それはわからない」
 トルカは表情を変えない。そのままのやはり何か別の世界を見ている顔での言葉だった
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