中編
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らを奪いに行け。」
真田が闘志を燃やして言った。とても止められる雰囲気ではない。
「荒っぽい作戦だなあ。怪盗はもっとイキにやるもんだぜ。」
モルガナが呆れたような声を出す。
「あいにく怪盗とやらになる気はない。障害は正面から叩き潰す。」
「そうだな。私も奴には問い質したいことが山ほどある。後回しにする気はない。」
普段冷静な美鶴も、怒りに震える声で同意した。父の仇であり、裏切り者でもある幾月を前にして、これ以上は心を抑えきれなかった。
「どうする?」といった表情で ゆかり が『彼』を見る。
「先輩達だけに突入させるわけにもいかないし・・・」彼が肩をすくめて答えた。
「そうね。・・・まあそういうことだから、モルガナ。敵はこっちで引き付けるから、そっちはよろしく。」
ゆかり が申し訳なさそうにモルガナに言う。
「しかしなあ・・・」モルガナが渋る。
その時、「ここはもういいから、お前たちも探しに行け。」と幾月の声がした。
シャドウ・アイギスたちは礼をすると、部屋から出て行った。
ホールに残っているのは幾月だけになった。
「うまいぞ。ヤツが一人になった。」モルガナが笑みを浮かべた。
「よし、その作戦で行こう。吾輩が先行する。気をつけろよ。」
そういうと、モルガナは物陰から這い出し、幾月に見つからないよう身をひそめつつ進み出した。
モルガナがある程度進んだところで今度は真田が物陰から飛び出し、幾月の正面に立った。取り残された3人が慌てて後に続く。
突然目の前に現れた4人を見て、幾月が驚きの表情を浮かべた。
「幾月!」美鶴が厳しい声で呼びかける。
「おやおや、君たち。これは驚いた。まさか侵入者が君たちだったなんて・・・。」
幾月は芝居がかった様子でそう言って立ち上がった。
絵本の王子様のごとくきらびやかな服装。カボチャパンツにマントというふざけた出で立ちだ。
「僕の宮殿にようこそ。君たちなら、こそこそ忍び込んだりする必要なかったのに・・・。正面から来てくれれば大歓迎したんだよ。」と手を広げてにこやかに語りかけて来る。
「ふざけるな。お前は私達をだまし、お父様を殺し、世界を滅ぼそうとした。何が目的だ。説明してもらうぞ。」
美鶴が前に進みながら、怒りを込めて厳しい口調で問い質す。
「世界を滅ぼす?とーんでもない。滅ぼしたりするもんか。ただ僕は世界を作り替えようとしただけだよ。まあ・・・僕の都合の良いようにね。」
幾月は相変わらずゆったりとした口調で穏やかに話し続ける。
「なんだと。」
「全てのアルカナのシャドウを揃えることで、全ての人間からシャドウが抜け出し、世界は意志力を失った影人間だけになる。そこから作り直すのさ。僕の思い通りの世界にね。桐条君。これはもともと君のお爺様である桐条鴻悦の発想だ。」
「な・・・」
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