中編
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かい? 馬鹿に手間取るじゃないか。そんなことでこの宮殿の治安が守れると思っているのかい?」
蔭から覗くと、おかしな扮装をした男が玉座に座ったまま、並んだ5体のシャドウ・アイギスに説教をしている。
「あの声・・・」『彼』がつぶやいた。
「まさか」真田も驚きの表情が隠せない。
「幾月だ。あの男がなぜ!」
美鶴が絞り出すような声を出した。
彼らにとっては絶対に許すことのできない因縁の男。そして美鶴の大切な父を殺した張本人だ。
しかし幾月は死んだはずだ。一体どうなっているのか。美鶴はその場に飛び出したい気持ちをぐっと抑えた。
幾月はシャドウ・アイギス達に語り続ける。
「僕はこの宮殿に賊が入り込んでると思うだけで、ゾクっとしちゃうんだ。」
シャドウ・アイギス達が爆笑した。
「うわー、あの寒いギャグ。間違いないわー。」
ゆかり が顔をしかめた。
「しかも、ギャグに反応するようにシャドウに仕込んであるみたいだね。」
『彼』もあきれたように声を洩らす。
「知ってるやつなのか?」モルガナが驚いたように聞いてきた。
「裏切り者よ。もともと私達の顧問だったけど、実は私達を利用して世界を滅ぼそうとしていたの。美鶴先輩のお父さんはあいつに殺されたし、私達も危うく殺されるところだった。」
ゆかり が手短に説明した。
「そうだったのか・・・」モルガナは驚いたように美鶴に目を向ける。美鶴は思いつめたような険しい表情を浮かべていた。
「しかしあいつは死んだはずだろう。死んでもパレスは残るのか。」
真田が不思議そうに尋ねた。
そう、そこが問題だ。美鶴もモルガナに目を向ける。
「いや、そんなはずはない。死ねばその人間のパレスは消滅するはずだ。もしかしてその男、まだ死んでないんじゃないのか?」
モルガナが首を振りながら、逆に問いかけてきた。
「いや、それはない。確実に死亡は確認されている。しかし・・・ならば、なぜ奴はここにいる!」
美鶴が厳しい表情で身を震わせた。
「なにか裏がありそうだ。お前たちと因縁がある奴ということは、お前たちがこのパレスに迷い込んできたことにも何か理由があるのかもしれないな。」
モルガナが考え込む。
「考えたところで答えは出ないだろう。本人に確認するのが一番だ。そもそも奴が本当は何をしようとしていたのか、それもわからないままだしな。きっちり吐かせてやろう。」
真田が不敵に両こぶしを合わせた。
「まあ、待て。オタカラが先だ。」モルガナが慌てて制する。
「それ、どこにあるのかわからないんでしょ。」ゆかり が言った。
「いや、ここならはっきりと感じる。玉座の後ろにある扉。あの奥だ。奴に気づかれずにあの奥に入るルートを探そう。」
「まだるっこしいな。俺たちが奴を問い詰めて注意を引き付ける。その間にお前がオタカラとや
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ