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ペルソナ3 ファタ・モルガーナの島(旧版)
前編
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の状態での不用意な行動は危険だ。
「いったん戻りましょうか?」
『彼』の言葉に、美鶴は反射的に「そうだな。」と応じて、もと来た方に振り向いた。
そこで一同は再び驚きの声を上げた。
たった今、上ってきたはずの階段がどこにもなかったのだ。そこはただ砂浜が広がっているだけだった。
「わけわかんない。どういうこと?」ゆかり が嘆く。
「わからない・・・が・・・どうもここはタルタロスではないらしいな。」美鶴はそう答えることしかできなかった。
「というか、影時間が終わってないか?」
真田の指摘に周りを見回すと、月は影時間とは異なり、ごく当たり前の光を放っていた。
「そんな、いくらなんでも早過ぎじゃあ・・・。」ゆかり が言う。
「ともかく現在地を確認しましょう。ムーンライトブリッジが見える位置なら、すぐに場所が確認できるはずです。」
『彼』の言葉に皆がうなずき、海とは逆方向に歩き出した。
そちらは真っ暗だ。緩やかな傾斜を登っていく。不思議なほど人家も街の明かりも全く無い。この大都会に、こんな場所があることが信じられなかった。
しばらく上ってから『彼』は振り向き「ここ、島なんじゃないですか?」と言った。
見回せば、確かに今いる場所を海がぐるっと取り巻いているようだ。
「でもこんなところに島なんか・・・いや、うちらの学校が人工島にあるのは知ってるけど、こんな無人島じゃないし・・・」
その ゆかり の言葉にかぶせて『彼』が言う。
「・・・と言うより、さっきから気になってたんだけど、あのムーンライトブリッジの見え方は、月光館学園の屋上からの見るのと同じじゃないかな。」
あらためて見ると、確かにその通りだった。
「つまりここは月光館学園のあるはずの場所。ということは、やはり我々はタルタロスがあるはずの場所にいるわけだ。」
美鶴が確認するように言うと、真田がうなずいた。
「現実にこんな場所が存在するはずがない。俺たちは今なお非現実な場所にいる。」
「幻の島か・・・まるでファタ・モルガーナだ。」美鶴がそうつぶやいた。
「ファタ? なんです?」ゆかり が聞き返す。
「ヨーロッパでは蜃気楼のことをファタ・モルガーナと言うんだ。
かつて北極海にあると噂され、目撃例が多数あったにもかかわらず、度重なる探索でついに発見することのできなかった島があってな。その幻の島のことを、ファタ・モルガーナ・ラネズと呼んだんだ。」
「ここも現実ではない幻の島ってことですね。」ゆかりが不安そうに言った。
「山岸との通信は途絶えたままだ。それでも、もしここが現実なら影時間が終わっていれば携帯電話が通じるようになるはずだ。だが、ここが依然としてタルタロスだというなら・・・」
「電話なんか使えねーよ。」
美鶴の言葉を遮って、ふいに聞きなれない高い声がした。全員が
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