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ヘタリア大帝国
TURN39 怪獣姫その二
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「しかも一箇所に集まっています」
「あそこには海亀を持っている南雲提督の艦隊とだ」
 ここでも南雲だった。
「それにエルミーの潜水艦艦隊だ」
「その二個艦隊だけを向けますか」
「エイリス軍に潜水艦は発見できない」
 東郷は確信を以て言い切った。
「そうした技術はない」
「それ故にですね」
「あの戦域は二個艦隊でいい」
「そしてですね」
「他の艦隊は全て敵の主力に向ける」
 そうするというのだ。
「ではいいな」
「了解です。それでは」
「さて。敵の主力もな」
 見れば植民地艦隊らしく旧式の艦艇が多い。その艦艇で編成されている艦隊を見てそのうえで言うのだった。
「やはり古いな」
「そうですね。本来は叛乱鎮圧用の艦隊ですから」
「侵攻に備えての艦隊ではない」
「だから編成も大したことはないのでしょう」
「そうだな。しかしだ」
「はい、敵はもうベトナムに入っています」
 エイリスの正規軍、彼等はだというのだ。
「ここで勝利を収めてもです」
「エイリス軍は侮れない」
「そう思います」
 秋山は鋭利な目で東郷に答える。
「では今から」
「攻めるとするか」
「はい、そうしましょう」
 こう話してだ。そのビームのみの編成の艦隊達には南雲とエルミーだけを回して主力は総督が率いる敵の主力に向けた。そうしてだった。
 その敵の主力に対してだ。太平洋軍はまずだった。
 動かなかった。エイリス軍を率いる総督はそれを見て首を捻った。
「あれ。攻めて来ないね」
「そうでごわすな」
「もうすぐにでも来ると思ったけれど」
「どういうつもりでごわすか?」
 オーストラリアも自分の乗艦の艦橋で首を捻っていた。
「攻めてこないでごわすか」
「どうなのかな。ただ」
 見ればだ。まずはだった。
 カモノハシ達は太平洋軍の攻撃を受けていた。東郷はそちらにも艦隊を向けていたのだ。
「戦闘ははじまっているね」
「そうでごわす。とりあえずカモノハシは」
「うん、いいね」
 総督はそちらの戦闘には関心を向けなかった。
「じゃあこのままね」
「敵が動かないのならこちらからでごわすな」
「いや、待とうよ」
 総督は攻めようというオーストラリアにこう返した。
「今はね」
「こちらからは攻めないでごわすか」
「うん。僕達は攻める必要はないから」
「守ればいいからでごわすな」
「勝つ必要はないんだ」
 守りきればいい。それだけだというのだ。
「だからそうしよう」
「わかったでごわす。それなら」
「うん、そういうことでね」
 こうした話をしてだ。総督は己が率いる艦隊を動かそうとしなかった。だがその間にだ。
 カモノハシ達は太平洋軍に捕らえられ別の戦域では。
 南雲は敵のビームが弾かれるのを見ながらだ。
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