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戦国異伝供書
第八十三話 和睦の間にその七

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「人が多く入ることも出来ず」
「その分話が出来ぬな」
「そして粗末ですと」
「格がな」
「それがどうしてもありますので」
「土佐一国を治めるならな」
 そして四国をというのだ。
「やはりな」
「それなりの城が必要かと」
「だからじゃな」
「私としてもです」
「高知によい城を築くことはか」
「よいことだとです」
 まさにというのだ。
「思います」
「左様か、ではな」
「はい、時が来ればですね」
「高知に城を築こう。そして」
 元親はさらに話した。
「城にはあるものを置きたい」
「あるものといいますと」
「天守閣じゃ」
「天守閣といいますと」
「言うなら櫓じゃ」
 元親は菜々にわかりやすく話した。
「それの大きなもので本丸にある」
「城のですか」
「そして城の象徴となってな」
 そしてというのだ。
「実に遠くまで見渡せる」
「そうしたものですか」
「何でも最近信貴山の松永殿の城にはじまり」
「他の方もですか」
「城に築かれておられるという」
「そしてその天守閣をですか」
「高知に城を築いたらな」
 その時はというのだ。
「本丸に置きたい」
「左様ですか」
「それも見事なものをな」
 元親は笑って話した。
「土佐ひいては四国の主に相応しい」
「そこまでの天守閣をですか」
「考えておる」
「そうですか、では」
「うむ、まずはな」
「土佐を一つにしますか」
「そうする、そしてお主はな」
 菜々にさらに言った。
「家を守ってもらいたい」
「承知しました」
 菜々は微笑みすぐに答えた。
「それではです」
「その様にしてくれるな」
「是非」
 また微笑んで答えた。
「その様に」
「宜しく頼むぞ、そしてな」
「そしてといいますと」
「家の中のことはそなたに任せたい」
「妻として」
「そうしてよいか」
「はい、家の中はです」
 菜々はここでも元親に応えた。
「わたくしがです」
「その様にしてくれるな」
「必ず」
「では頼むぞ」
「その様に」
「それでわしも万全に戦が出来てな」
 そしてというのだ。
「政もな」
「出来ますね」
「存分にな、だからな」
 それだけにというのだ。
「家のことは宜しく頼む」
「それでは」
 菜々は夫に応えた、そうした話をしてだった。
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