第79話『夏休み』
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俺は大雨に当たり続けなければいけないのか。
「お、止んだ…」
だが雨は最後まで夕立らしく、すぐに止んでしまった。灰色の雲がすっと消え去り、再び日が顔を出す。さらに、
「虹だ」
まさか虹まで再現されるとは、随分と精巧な現象である。雨上がりの空に、地平線を繋ぐ大きな七色の光。加えて濡れた草原が、日光を反射してキラキラと輝いている。その幻想的な光景に、俺は思わず息を呑んだ。
「綺麗だな──」
そう感動を抱いた瞬間、俺の意識はふっと途切れた。
*
沈んでいた意識が急速に浮上し、覚醒の時を迎える。目を開けると、そこには見知ったいつもの天井が見えた。
「またこの夢か…」
晴登は寝起き早々ため息をつく。相変わらず、展開の早い訳のわからない夢だった。いや、そもそも夢というもの自体、よくわからない現象を引き起こすものではあるが。
「それでも、こうして似たような夢を何度も見ると疑いたくもなるよなぁ」
腕を組み、うんうんと唸る晴登。だが、朝っぱらではやはり頭が働かない。
とりあえず、このことは朝食をとってから考えることにしよう。何せ、今日から林間学校であり、そして出発の時間は早い。準備には時間を持っておきたいのだ。
「林間学校、楽しみだなぁ」
晴登は口角を上げ、今日からの行事に想いを馳せるのだった。
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