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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第79話『夏休み』
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えず今は、"花火を結月と見る"ことだけを考えて、噂のことは意識しないでおこう。結月が一緒に見ようと言った時点で、たぶん悪い噂ではないのだから。


「お兄ちゃん!」

「うわ、どうした智乃」


突如、大きな音を立てて部屋のドアが開けられた。その音の正体──そこに立っている智乃は、なんだか焦っているように見える。何かあったのだろうか。


「明日からお兄ちゃんがいなくなるんだと思うと、いてもたってもいられなくなって!」

「たった2泊3日だぞ。それくらいで寂しがるなよ」

「無理!」

「堂々と言うな…」


どうやら智乃は、火急の用件という訳ではなく、ただ寂しいから晴登に会いに来ただけらしい。何とも人騒がせな妹だ。もう少し、我慢というものを覚えた方がいい。


「だから今からお兄ちゃんに抱きつきます。えい」

「ちょ、いきなりだな」

「あ、チノずるい。ボクも」

「え、結月まで!?」


女の子特有の柔らかさと甘い匂いが晴登の両腕を包み込む。妹ならまだしも、結月にまでそうされると、年頃の男子的には意識せざるを得ない。というか恥ずかしいのだ。


「さすがに離して欲しいんだけど…」

「「あと1時間ぐらい待って」」

「待てるか!」


無茶な要求に反抗しようとしても、両腕はガッチリとホールドされてしまい、無闇に動かすことができない。


「ちょっと、結月お姉ちゃん離してよ。今は私のお兄ちゃんタイムなんだから」

「む、それを言うならチノだって。ボクのハルトタイムを邪魔しないでよ」

「新しい言葉を作らないでくれる?!」


ここまで来ると、愉悦よりも羞恥が感情を席巻している。いい加減離して欲しいのだが、2人には当分その気は無いらしい。耳元で言い争いを続けられると、うるさいようでくすぐったいので、早く終わらせたいのだが…。


「じゃあ私はチューしちゃうもんね!」

「ならボクもする!」

「ストップストップ! どうしてそうなる?!」


話が飛躍し始めたので、慌てて大声で制止する。いくら何でもチューは待ってくれ、チューは。


「え〜昔はいっぱいしたじゃん〜。ほっぺたにさ〜」

「ちっちっち、甘いねチノ。ボクはハルトの…唇を奪ったんだよ」

「まさか、お兄ちゃんのファーストキスを…!?」

「頼むからやめてくれ!!」


結月のいた世界から帰還する瞬間のことを思い出して、顔を真っ赤にしながら暴走する2人を止める晴登。これ以上この話題を続けられると、顔から噴火しそうである。


「もうお兄ちゃんダメだよ、キスなんかで恥ずかしがってちゃ」

「そうそう、そのうちまたするんだからね」

「え、また…!
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