第79話『夏休み』
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「・・・よし、こんなもんか」
「こっちも準備できたよ」
パンパンになったバッグのチャックを閉めながら、2人は準備の完了を報告し合う。必要な物は何度もチェックしたので、もう心配は無い。
「でも最後に日程の確認はしとくか」
「そうだね」
そう言って2人は、林間学校のしおりを取り出す。その表紙には、漫画家が描いたのではと思うほど、躍動感に溢れた少年少女のキャラが上手に描かれていた。
「やっぱりこれ描いた人凄いよなぁ。美術部の人とかかな?」
「そうだねぇ」
2人は感嘆しながらページを捲り、スケジュール表を開く。
「一日目は海で遊び、夜は肝試し。二日目はスタンプラリーからの花火。そして三日目は掃除して帰宅、か。部長の言った通りのイベントだね」
「楽しみだなぁ」
結月は待ちきれないと言わんばかりに頬を緩ませている。その頬をつついてみたいと思いながら、晴登は次のページを開いた。そこには班の番号とそのメンバーの氏名が記載されている。
「大地とは違うけど、暁君や柊君と一緒なのは嬉しいな。ただ、他の人はあまり話したことはないな…」
「ボクもリナが一緒で良かったよ。でも他の子とも普通に話すかな」
「え、何この差…」
最近改善されてきたと思っていたが、やはりコミュ障はまだ晴登の中に根付いているらしい。誰とも気さくに話せる結月とは大違いだ。一応、学級委員長なんだけどな…。
とはいえ、このメンバーで夕飯を作り、同じテントで寝るようなので、仲良くしないといけない。
「頑張らないとな」
晴登は拳を握って、そう意気込んだ。隣を見ると、結月がニコッと笑いかけてきた。その笑顔を見てると、不思議と自信が湧いてくる。
「…あ、そうだ、ハルトは"花火の噂"って知ってる?」
「花火の噂? 何のこと?」
「林間学校の花火の話。でも知らないならいいや」
「何だよそれ」
やけに気になる言い方だが、知らないものは知らない。マンガでよくある展開だと「一緒に見たカップルが結ばれる」だとか、そういった類いなのだが、果たしてこの学校の噂はどういったものなのだろうか。まさか一緒だなんてベタな展開は・・・
「花火、一緒に見ようね」
「え?! あ、うん、いいけど?!」
たった今そんなことを考えていたせいで、結月の言葉に思わず必要以上に驚いてしまう。おかげで結月に変な目で見られてしまった。
待て待て、まだ噂の内容がそうと決まった訳ではない。勝手に勘違いしていたら、後で恥ずかしくなるのがオチだ。
だが、追及を断られたばっかりなので少し訊きにくい。どうしたものか。
「…まぁ、いずれわかるか」
とりあ
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