暁 〜小説投稿サイト〜
『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
邂逅-うんめい-
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ちく…しょう!」

ぞぶり、と俺の腹からデーモンの腕が引き抜かれる。
力なく倒れた俺を確認するとそいつは、もう興味はないと言わんばかりに俺に背を向けて歩き出した。

「おい!!来たぞ!!」
「やめろ!お前が階段から逃げろよ!! 」

未だにエレベーターで仲間割れしている人達に向けて。

「…。」

死んだとみなされた俺は、もう指一本動かすことすら難しい。
腹に風穴を開けられ、もう痛いとかそういうレベルじゃない。
というか、次第に痛くなくなってきてる。
寒気もしてきた。
そうか、これが"死ぬ"ってことなんだ…。

「…?」

そんな時だ。
狭まる視界に、ふと誰かが映った。
かぶいた格好をした人が、デーモンに立ち向かっている。
なんだろうあれは、和服?もしかしてコスプレか?それに何よりも目立つのはその銀色の髪。
腰に携えていた刀を抜くと、その人はデーモンに斬りかかる。
あれは日本刀?
なんなんだあの人…。
よく見ようとしてもさっきやられた時に眼鏡を落としてしまい、視界がぼやけてしまう。

「…!」

デーモンと対峙しているコスプレの人が、ふとこちらに気付いて振り向く。
すると彼女は表情が一変。慌てたような表情になると、一瞬でデーモンを斬り伏せこちらに駆け寄ってきた。

「マス…!マ…ター!」

え、なに?鱒?
なんだかもう耳もよく聞こえない。
もうじき死ぬんだろう。

でも、
最後にこんなとっても綺麗な女性に看取られるのも、悪くはないかも。
いい加減社畜人生とはオサラバしたかったんだ。
社会人になって、いつか趣味とかそういったものもするヒマなくなって、ただ仕事場とオンボロアパートを往復するだけだった毎日。
死ぬのは嫌だけど、これでもう仕事しなくていいし上司にも怒られやしないからいいや。

にしても、このコスプレの人、FGOの武蔵ちゃんにとってもよく似てるな…。

FGOかぁ…
仕事が忙しすぎてもう半年くらいはログインしてないや。
武蔵ちゃん、二部のロシア以降ストーリーに関わってきた?水着は実装された?
いや、誰に聞いてるんだか。
どうせ死ぬ。そんなこともういいや。

さよなら人生。
後悔なんてないな。


いや、あるな…。
ただ一つだけ。


女性とは無縁だった25年の人生。
せめて、
人並みの恋がしてみたかった…。



?


「っ!?」

がばっと、夢から醒める。
気付けばそこは廃墟ビル。
ボロボロの部屋の中で、硬い床に毛布をしいて俺は寝ていた。

ここはどこだ?
確実にさっきまでいた会社じゃない。
痛む背中に顔をしかめて上半身を起こし、毎朝起きた時のように眼鏡を手に取ろうとするが、ない。
無くして
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