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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
邂逅-うんめい-
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咄嗟に両手で顔を守るも、さっきまで偉そうにデスクに座り俺を怒っていた上司はモロにガラスの雨を浴びた。
そして、

「な、なんだこいつ!?」

割れた窓ガラスから入り込んできた怪物が、その手で易々と上司の頭を掴んで持ち上げた。

大きな身体、禍々しい角。蝙蝠のような羽根。
そいつは言うならば"デーモン"だろう。
見た目がFGOに登場する敵、"デーモン"に非常によく似ているからだ。
いや、むしろ同じなんじゃないか?そう思うほどに酷似している。

「ひ、た、たすけ」

助けを求める前に、上司はその頭を握りつぶされた。
ほとばしる鮮血、それをスイッチにオフィス内はパニック状態となった。

逃げ惑う同期、後輩、先輩。
泣き叫ぶ者、腰が抜けて動けぬもの、我先にと階段やエレベーターに駆け込むもの。
俺もまた、血を浴びて我に返り情けない悲鳴をあげながら一目散に逃げた。

デーモンは逃げ出す俺を見る。
そして、もう片方の手をフッと上げると、

「!!」

デスクにあったパソコンが爆散した。
光る弾を飛ばしたのだ。
それはギリギリ俺の横を通り、パソコンに命中。
もし俺に当たっていたらと思うと、ゾッとした。

「なんだ…なんなんだよあれ…!!」

エレベーターは満員で重量オーバーのブザーが鳴り、お前が降りろだのと仲間割れが始まっている。
そんな人とは違い、賢い人は階段から逃げている。
俺もそれにならい、階段をかけ降りようと思ったのだが、

「…!!」

ふいに、後ろを振り向いた。
するとそこには

「い、いや…!」

腰が抜けて立てなくなったであろうOL。
そして、そんな動けない彼女にゆっくりと近寄るデーモンの姿が見えた。

片手に上司だったものを掴み、怯えるOLにじわじわと迫る。
ああ、どうして振り向いてしまったんだろう。
振り向かなければ、

「くそっ!」

こうして助けようとも思わなかったのに。

「この野郎!!」

走ってきた道を戻り、隅に置いてあった消火器を手に取る。

「これでもくらえ!!」

ピンを抜き、ホースを向けてデーモンに噴射。
こちらに向いたデーモンの顔めがけ、思い切りぶちまけてやった。

「…!!」

「早く逃げろ!!」

なにも言わずOLは立ち上がり、泣きながら逃げ出す。
これで逃がせた。と安心した次の瞬間、

「が」

消化粉の中から伸びてきたデーモンの腕が、情け容赦なく俺の腹を貫いた。

「うそ…だろ。」

人助けをした報いが…これか。
痛い、すごく痛い。
血だってものすごく出ている。
やばい、どのみち死ぬ、
このままじゃ、俺は死ぬ。
こんな訳のわからない怪物に、殺される。


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