ターン24 十六夜の決闘龍会
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てのごり押しも不可能ではないが、少女の残り僅かなライフではその迎撃ダメージを受けきることはできない。実質、モンスターとの戦闘は封じられているも同然だった。
「確かに、そうですね。ですがクノスぺ以外の攻撃が封じられたというのであれば、クノスぺで攻撃をすればいいんです!永続魔法、憑依覚醒!この効果により私のモンスターたちの攻撃力は、その属性1つにつき300アップします。今の私のフィールドには闇のアドレイション、水のリキッドマン、そして地のクノスぺで3種類、つまり……」
V・HERO アドレイション 攻2800→3700
E・HERO リキッドマン 攻1400→2300
E・HERO クノスぺ 攻600→1500
E・HERO クノスぺ 攻600→1500
E・HERO クノスぺ 攻600→1500
「なんと」
小さな呟きが、妙に大きく舞台に響く。少女の執念とでも呼ぶべき愛情が、勝利をもぎ取った瞬間だった。
「バトルです。クノスぺ3体で一斉攻撃、突撃クノスペシャル!」
E・HERO クノスぺ 攻1500→笹竜胆(直接攻撃)×3
笹竜胆 LP4000→2500→1000→0
「ほほ、見事じゃったのう。わらわの完敗じゃ」
「笹竜胆さん……」
3連撃を受けて乱れた着物の裾を払いつつ、目を細めて笑う笹竜胆。余裕に満ちた態度とは対照的に疲労困憊、いっぱいいっぱいな八卦の様子は、もはやどちらが勝者だかわからないほどだった。
「これ、勝者がそのような顔を見せるでない。ほれ、見てみい」
今にもその場にへたり込みそうな少女にチッチッチッといたずらっぽく指を振り、客席へと鷹揚に手を振ってそちらを見るように促してみせる。釣られてそちらに目を向けると、自分たちを……否、自分を見上げて拍手する観客の姿がその目に映った。やや遅れて、拍手の音が聞こえ始める。それまでは、緊張の糸が切れたせいか耳には届いても脳がそれを認識できなかったのだ。
そんな人生はじめての光景をじっくりと見せてから、そっと隣に立つ。まだぽかんとしている少女の隣で上品な仕草で一礼すると、より一層拍手が大きくなる。
「仕方がないのう、先輩(ここで「お局」と呟いた糸巻の声が届いたので睨みつけた)からのためになる助言というものをしてしてやろうかの。よいか、お主もこの業界に踏み出そうというのであれば、最低限自分が勝った時には胸を張るがよい。それこそ、そこな妖怪生意気乳女のようにな」
意味ありげに送った流し目に、にやりとふてぶてしい笑みで答える糸巻。お互い口は減らぬのう、と笑い返し、キラキラした目で次の言葉を待つ少女の方へと向き直る。あの女を反面教師とし、この娘には素直な心を忘れないでいて欲しいものなんじゃがの。
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