ターン24 十六夜の決闘龍会
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夜の決闘龍会』と呼びはじめたのは、一体どこの誰だったか。
そんな彼女が、そのトレードマークである黒地に金のカラーリングが施された和風デュエルディスクを起動する……しかし、なぜか清明は沈黙を保ったままだ。
「これ、そこな司会。わらわをいつまで待たせる気かや」
焦れた笹竜胆の催促に、なぜか小さな笑みを浮かべた清明がようやく口を開く。
「えー、ですがここでお集りの皆様に、ひとつ残念なお知らせがございます。本来この場にてその妙手を振るうはずだったフランス仕込みのクールビューティー、先ほどの糸巻さんと同じくデュエルポリスが一番星。『錬金武者』の鼓千輪さんですが、本日は急な体調不良により参加を辞退する、との連絡が入っております」
瞬間あちこちで膨れ上がる、あからさまな落胆の声。ざっと客席を眺めまわした糸巻も、明らかに下がった会場のボルテージに仕方ねえな、と嘆息した。フルール・ド・ラバンク社摘発の立役者として、そして理知的な美貌とスタイルから一躍その人気が再燃した鼓の影響力は大きく、今回もその彼女を直接拝めるというのが決め手となってこの場に集まってきた客も多い。
とはいえ、こればかりはどうしようもない……そう糸巻は考えていた。自分がこのデュエルフェスティバルを回しているのと同じように、彼女には現在進行形で地下でやってもらう仕事がある。この対戦相手は不戦勝で、さくっと次の試合に移る。当然起こるであろう不満は、アタシらのデュエルでカバーすればいい。それは、元プロデュエリストとしての彼女なりの矜持だった。
しかし、そんな裏事情を何も知らない清明「たち」は、もう少し別の悪だくみをしていたのだった。
「おーっと、もちろんそのご不満はごもっともです。しかし皆様、ご安心ください。ここで1名、飛び入り参加のゲストをお呼びしております」
「ん?」
嫌な予感がした。彼女の直感は嫌味なほどよく当たるが、時に嫌味なほどタイミングを外してやってくる。果たして今回がその時だった。
「荒れ果て乾いたデュエル産業、その不毛の地に気高く咲いた一輪の花。伝説の血を引く期待の新星、新世代の切り札。八卦九々乃さん、どうぞーっ!」
「は、はい!」
ガチガチになった、しかし聞きなれた少女の声に、比喩でなくその場でずっこけそうになる糸巻。今まさに火をつけようとしていた煙草が1本、口の端からポロリと落ちた。同時に客席の方からも「八卦ちゃん!?」と驚愕混じりの悲鳴が聞こえてきたが、もうそちらに注意する余裕もない。
「ふ、ふつつか者ですが、本日はよろしくお願いします!」
緊張のあまり右手と右足を一緒に振りながらぎくしゃくした動きで壇上に現れた少女が、当然注がれる好奇と困惑の視線にますます固くなりながらも大きく一礼する。突然現れた見ず知らず
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