SS:シエル達の一日
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状は悲しむだろう。
「……ごめんなさい」
今の人間優位のネオ・アルカディアはシエルが造ったコピーエックスのせいだ。
だから彼女は罪悪感を抱いていたのだが、ルインはそんな彼女の頭を軽く叩いた。
「はいはい、そんなことで謝らない。シエルはみんなのためを思ってやっただけでしょ、会ったことはないけどコピーエックスがそうなったのはシエルのせいじゃないよ」
恐らくは、コピーエックスを引き取り育てた連中…ネオ・アルカディアの上層部辺りが原因だろう。
生まれてほやほやの何も知らない子供がネオ・アルカディアの統治者となったのだ。
周囲がちやほやするうちに、己を弁えずに思い上がるのは当然だろうし、人間達も自分達の都合の良いように圧力や影響を与えたのだ。
「ゼロからコピーエックスの話は聞いたけどさ、私も子供って印象しか抱けなかったな。私の知っているオリジナルのエックスはいつも悩んでいた。悩み続ける先に答えを見出していた。現状のままで本当に良いのかって…“悩む”ことを知らない時点でエックスには程遠いよね…まあ、ネオ・アルカディアの上層部からすればそっちの方が都合が良かったんでしょ」
「ルイン……」
「一人で背負い込まないでね?ゼロも私もネオ・アルカディアに簡単に負けたりはしないし、何があっても必ずみんなのところに」
スープをかき混ぜながら不敵に微笑むルインにシエルは不思議な安心感を得た。
「ええ、ありがとう…そろそろ良いかしら?」
「うん、そうだね…ゼロ、味見してよ」
「………何故俺なんだ?」
離れた場所で三人を見守っていたゼロにスープを一口分入れた小皿を差し出すと、ゼロが訝しげな表情を浮かべた。
「そりゃあ、味見はゼロの役目だからね。私とエックスが料理した時もそうだったし」
意外かもしれないがルイン、エックス、ゼロの三人の中で最も味覚が鋭いのはゼロだったので、自然とゼロが味見役になっていた。
ルインから渡された小皿を受け取り、スープを飲む。
「………悪くない」
「よし、ならOKだね」
ゼロと言うレプリロイドの性格は熟知しているルインは、ゼロなりのスープの評価にガッツポーズをすると、三人で食べる用意をする。
「良いなーシエルお姉ちゃん達…私もお料理食べたい……」
それを聞いたシエルはゼロに目配せする。
「何だ?」
「ねえ、ゼロ…後で私の部屋に来てくれないかしら?」
「…構わんが、どうした?」
「アルエットが食べたそうにしてるから……あの子にも食べさせてあげたいの…お願い、ゼロの味覚の機能と食べ物のエネルギー変換機構を調べさせて」
「……仕方がないな」
心を許した相手には多少甘いゼロであった。
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