揺籃編
第二十話 新たな戦いへ
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、国家に忠誠を誓い、暴虐なる専制主義に屈することなく責務の完遂に努め、事に臨んでは危険を顧みず、以て同盟市民の負託に答える事を誓います。宇宙暦七百九十年三月二十四日、卒業生代表、ヤマト・ウィンチェスター!」
3月24日15:00 自由惑星同盟軍士官学校、第七食堂 オットー・バルクマン
「卒業したな」
「ああ」
「マイクはこのままローゼンリッターに行くのか?」
「そうだな。そのまま歓迎会だぜ」
「歓迎会?」
「そうさ。前に着任したときはエル・ファシル失陥の騒ぎで一応自粛してたからな、今回は晴れて大尉任官、着任の歓迎会をやってくれるんだと。先任中隊長にすげえ人がいるんだ」
「へえ。なんて人だ?」
「シェーンコップ大尉って人だ。女も敵もこの人には敵わないね」
「そうか。いいなあ」
「何そんなにショボくれてんだよ、エル・ファシル警備艦隊司令部参謀殿?」
「やめてくれよ…ますます気が重くなるだろ」
「考え込んでもいいことないぜ。俺は中隊長、お前だって今は参謀だけど、直ぐに指揮官という立ち位置が見えてくるんだぜ?眉間に皺寄せて、ウーンウーン唸って考え込んでる指揮官や艦長を部下が見たいと思うか?」
「…そうだな」
「だろ?俺達はレールに乗っちまったんだ。前に進むしかねえんだよ。明るく行こうぜ、明るく」
「…俺、お前の部下になりたかったよ。いい指揮官になれるぜお前」
「はは、ありがとな。…では、いまいち乗りきれないバルクマン大尉に、ダグラス中隊長がいい言葉を教えてやろう。心して拝聴するように」
「…なんだ?」
「世の中を甘く見る事。いい言葉だろ?」
「…それが出来れば苦労しねえよ…何言ってんだよ全く」
「固いねえ…ところでヤマトは?」
「エリカちゃんを駅に迎えに行ったよ。エリカちゃんも今日卒業だろ?ご両親がお祝いしてくれるんだと。俺も誘われたけど断った」
「なんでよ、行けばいいじゃねえか」
「…空しくなるだろうが」
「まあな、はは」
じゃあな、また集まって一杯やろうぜ、と言い残してマイクは行ってしまった。
俺って要領悪いんだろうか…。
卒業時の席次はヤマトが首席、俺が百五番、マイクが二百十三番だった。一応トップグループに入る事が出来た訳だ。
ヤマトは分かる、あいつはいつの間にか勉強している奴だからな。マイクだって勉強は苦手、とかいいながら、かなり頑張っていた。戦術と白兵戦技は同期でもトップクラスだ。兄貴肌で意外に面倒見がいいから、下級生には人気があった。翻って俺は…特徴がないのが特徴、とか言われそうだ。
「どうしたのよ、一人でポツンと」
「あ、カヴァッリ大尉」
「卒業おめでとう。いつも一緒の二人はどうしたの?」
「ありがとうございます。ヤマトは彼女を迎えに、マイクもさっき駅へ
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