第百四十九話 内政を整えその五
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「まずはビザンチウムだ」
「そちらだな」
「ああ、ただ黒湖沿岸部は勢力に収めてもな」
「北上はしないな」
「まだな」
それはしないというのだ。
「抑えて守りを固めるだけだよ」
「底から北、浮島北東には大国があります」
ここで言ったのは夕子だった。
「正教を信じる」
「寒い国土にな」
「はい、浮島で我々以上に広大な国土を持ち人口も多い」
夕子はその国についても話した。
「皇帝を戴く」
「大国があるよな」
「東の帝国が」
「そこと揉めることはな」
「今はですね」
「しないな、あの国は丁度東の王国や北の諸王国と対立してるしな」
このこともだ、久志は話した。
「こっちが守りを固めてるとな」
「例え攻めて来てもこちらに送れる兵力は少ない」
「守れるさ、だからな」
それ故にというのだ。
「今はな」
「黒湖沿岸部を抑えるだけで」
「そこからは何もしないさ」
「北上はせずに」
「ああ、アテネとかテーベをな」
ビザンチウム攻略の後はというのだ。
「攻めていくな」
「そうしますね」
「そうするな、それでアテネやテーベの動きはどうなんだ?」
「同盟を結んでね」
淳二がこれからの敵となる彼等の話をした。
「もう市民を総動員して傭兵も雇えるだけ雇ってね」
「こっちにか」
「対抗しようとしてるよ」
「そうなんだな」
「もうね」
今の時点でというのだ。
「そうしてるよ」
「そうなんだな」
「そしてね」
淳二はさらに話した。
「アテネ、テーベ、スパルタを中心としてこちらに従わない都市国家が戦おうとしてこちらに従った都市国家や勢力にね」
「攻撃もか」
「仕掛けようとしているよ」
「じゃあそっちにも兵を向けるか」
即座にだ、久志は決断を下した。
「アレクサンドリアには三十万のつもりだったけれどな」
「その兵を減らして」
「五万を送ってな」
そうしてというのだ。
「そっちの援軍にするな」
「抑えだね」
「ドナウ川南岸や降った都市国家の兵もいるしな」
「彼等とその五万を合わせて」
「アテネとかに睨みを利かせてな」
「攻めさせないね」
「そうしてな」
そのうえでというのだ。
「俺達はな」
「浮島東部をだね」
「ビザンチウムまでな」
「攻めていって」
「そしてそこからだよ」
「アテネとかを攻めるね」
「ああ、それまではあっちは守りに徹するな」
五万の兵を送ったうえでというのだ。
「そうするな」
「あくまでだね」
「そっちはまだ攻めない」
久志は言い切った。
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