転職
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<ダーマ神殿>
「うるっさいんだよアンタ等!!」
翌朝、ダーマ神殿の食堂に集まり、ティミーが開口一番に発した言葉!
肌艶が良くなり、ストレスが吹き飛んだ様子の母親と、心地よい脱力感を体に纏った父親に対して、睡眠不足気味な表情で怒りを露わにする息子が此処にいる。
「神聖な神殿で、明け方まで盛(さか)りやがって!」
よく見ると、この食堂にいる誰もがティミーの様な寝不足気味の表情である。
宿屋は安普請な造りの為、音声がダダ漏れだった様だ…
「しょうがないじゃん!夫婦なんだから…こうやって君は産まれたんだよ?」
「うっさいよ!久しぶりの再会だし、1.2時間くらいなら我慢もするさ!だが一晩中って何だよ!馬鹿なんじゃないのかアンタ達!」
「親に対して『アンタ』って…酷くないッスかビアンカ姉さん!?」
「そうねぇ…育て方間違えちゃったかしら…?」
リュカが絡まなければまともな人なんだが…この夫婦には何を言っても無駄である。
各人が朝食を終えると、ダーマ神殿のメイン機能…転職に皆が赴く。
予め必要事項を記載した書類 (名前、性別、前職業や希望の職業、等々…)を持ち、大神官が居る祭壇へと長蛇の列が出来上がる。
1時間程順番を待つとカンダタの番になる。
大神官に書類を手渡し眼前で大人しく待つカンダタ。
「転職の地、ダーマへようこそ。カンダタは盗賊から戦士へと転職を希望ですね?」
「は、はい!俺、心を入れ替えたんです!その証明の一つとして戦士になろうと思ってます!俺みたいな悪人でも転職できますか…?」
大神官に懺悔をするかの様に転職を切望するカンダタ…
「大丈夫です。悔い改める気持ちがお有りなら、貴方にも転職は可能ですよ。しかし戦士としては1からの再出発になります…どうか焦らずに自身を成長させて下さい」
「は、はい!!」
カンダタの返事を聞くと、大神官は天を仰ぎ祈りの言葉を唱え出す。
そしてカンダタの体が光に包まれ、その光がカンダタの中へと吸い込まれて行く。
「…これより貴方は戦士カンダタです。新たな人生に幸あれ!」
少し離れた所で転職希望者の列を眺めているアルルとティミーの元に、カンダタが自信に満ちた表情で戻ってくる。
「これで俺は盗賊とはおさらばだ!真っ当に生きる第1歩だぜ!」
「おめでとうカンダタ…でも、待たされた割には、あっけなく転職出来るんだね?」
ティミーの感想に思わず苦笑いするカンダタ…
そして付近を見渡し…
「リュカの旦那は?…報告しておきたいんだが…」
カンダタの質問にティミーは辟易した表情で、右肩越しに右手親指で指差す。
「あっちでイチャついてる…」
ティミーの指差す方へ目を向けると、其処には壁を背に座り込むリュカと、リュカの膝の上に座るビアンカ
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