第1話 剣の世界
[1/5]
前書き [1]次 最後
Virtual YouTuber。
2010年ごろに日の目を浴び、その若年層に対する影響力が重要視された"YouTuber"の派生系。
最早日本の象徴的な文化となりつつある"オタク文化"の需要に完璧に答える形となったVTuberは、非常に緩やかに、だが確かな影響力を持って、社会に溶け込んでいた。
プロサッカーチームの公式新人サポーター、訪日促進アンバサダー、観光大使…様々な方法で業界に進出するVTuberの総人数は、推定一万人を超える規模となる。
しかし、そんなVTuberも所詮はただの人間。モーションキャプチャを駆使して、可能な限り人間の動きを再現しているだけに過ぎないのだ。
人が人として、そして仮想世界の身体が身体として別々で活動している限り、出来ることの限界は限りなく低い位置にある。
そんな中、とある一人の科学者が公開した一つの世界を変える技術。
"フルダイブ技術"が、VTuberたちの世界を大きく広げることになった。
「はーい皆さんこんばんきーつね!白上フブキでーす!」
『コーンばんわー!』『コーンばんは!』『初見です。こんばんは!』『猫やんけ!』
途端に流れてくる怒涛の挨拶を目で追いながら、カメラに向かって手を振る少女――フブキは、いつも通りの挨拶から配信を開始した。
真っ白なポニーテールの髪に、二つの大きな耳。腰からふさふさの尻尾が垂れ下がる彼女は、キツネを模したVTuberである。
怒涛の挨拶コメントに笑顔で対応しながらも、流れてくるコメントに交じる『猫やんけ!』は華麗にスルーする。何故なら彼女は立派なキツネなのだから。断じて猫ではないのだ。
「今日はいよいよ正式サービス開始となった、このVRMMORPG…その名も、"ソードアート・オンライン"をプレイしていきたいと思いまーす!皆さんも早くやりたいでしょうから、今日は30分くらいの短い時間でやっていきますよー」
『短時間配信たすかる』『むしろもっとやって』『SAOをプレイすればフブキちゃんの尻尾をモフモフできるって本当ですか?』『通報しました』
仮想空間を使用した、大規模なMMORPGとして制作された世界初のフルダイブ型ゲーム。それが、このソードアート・オンラインだ。 動画配信といったコンテンツの需要にも答え、動画投稿サイトとのアカウント連携、配信機能さえも完備した作りとなっていた。
ナーヴギアと呼ばれる、人間の脳から出力される信号を解析、仮想世界の身体に正確に五感を結び付けるその機械のおかげで、人はもう一つの世界ともう一つの身体を手に入れた。
VTuberたちは、仮初の身
前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ