第五章 トリスタニアの休日
第三話 女ったらしにご用心
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の方から会いに来てくれるなんてな」
「俺達を探してたのか」
「ち、違っ」
「ああ……俺もう我慢できねぇ!」
「いっイヤアアアア!」
取り囲むように立っていた男の一人が、ジェシカに向かって飛び掛る。逃げようにも逃げられないジェシカの胸元を掴むと、音を立て服を破く。元々胸元が大きく開いていた服は、もはや服として機能せず、微かに首に布がかかっているだけになっていた。
「ぃ……ぁ……」
「こりゃいい」
「ああ」
「堪んねぇ」
闇にぼんやりと浮かぶ白い胸に、男達の獣欲に濁った視線が集まった。剥き出しになった乳房に夜風が当たり、身体が震える。呼吸に合わせ、胸が上下に揺れる度に、男達の視線が強まっていく。必死に息を沈めようとするが、時が経つにつれ、逆に呼吸が荒くなる。カチカチと歯が鳴らしながら、声の出ない悲鳴を上げるジェシカ。
男達の視線には慣れていた。
男達が何を望んでいるかは知っていた。
男達の視線を集める自分が、それだけ魅力的だと思い優越感に浸っていた。
けど、違った。
こんなの知らない。
怖い。
気持ち悪い。
吐き気がする。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……。
男の手がゆっくりと伸びてくる。
生臭い吐息が近付いてくる。
身体が凍ったように動かない。
声が出ない。
「……ぃ」
……声が出せれば、何を言おうとしたのだろう。
誰の名を言おうしたのだろう。
誰の……。
「……ぉ」
涙に歪んだ視界に映るのは……。
「……ぅ」
誰の……。
「ッガ!」
「え?」
鈍い音が響き、腕を圧迫していた感触がなくなり。それと同時に身体に腕を回され、耳に風を切る音が響く。一瞬にして男達が遠ざかっていき、唐突な視界の変化に呆然となるジェシカ。
いまだ混乱する頭を持ち上げ、これらの原因であるものを確かめようとしたジェシカの目に、
「すまん。遅くなった」
厳しい顔を男達に向けた士郎がいた。
「……シロウ」
「ああ」
「シロウ」
「ああ、大丈夫か」
「シロウ……シロウ、シロウッ!」
「あ、おい」
縋り付くように身体に手を回してきたジェシカに慌てた士郎だが、胸が丸見えになっている姿に眉根に皺を寄せると、上着を脱ぎジェシカの身体を覆うように着せた。
「すまない。ちょっと用事が出来た。ここで少し待っていてくれ」
「え」
優しくジェシカの手を体から離すと、士郎は地面に座り込むジェシカに背を向けた。ジェシカの戸惑った声を後
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