その43
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イノ。あんた、ナルトを甘栗甘に連れてっちゃったの!?」
「ふっふーん!こういうものは早い者勝ちよ〜?」
驚愕としてやられたという表情を浮かべて座り込んでいるサクラに向かって手を差し伸べながら、イノは勝ち誇る。
「そうだけど。ヒナタならともかく、イノに先を越されるのはなんか釈然としないわ。で?なによ」
イノの手を借りて立ち上がりつつ、サクラが不満な気持ちを隠さず不平を述べてくる。
そうしてそれが、サクラの性格だ。
爪弾きにされ始めた頃からの。
イノは今更気にもならない。
それがサクラだと知っているから。
サスケを巡る突然のライバル宣言後のサクラの態度の豹変には、確かに驚かされはしたけれど。
でも、思い返せばサクラはもともとこうだった。
いじめられるようになって、委縮して、大人しくなって、イノの背中に隠れていたけれど。
ふっと小さく笑いながら、イノは確信する。
わりと性格の悪いサクラと仲良くなれたイノが、境遇の割には断然性格の良いナルトと仲良くなれない訳がない。
そして、サクラのフォローをイノがしてやれば、サクラだってナルトと仲良くなれるに決まっている。
それにサクラだって、あの頃よりは断然人の気持ちを察することが出来る様になっているし。
例え、ナルトが人柱力だったとしてもだ。
ナルトは人の気持ちが分からない子ではないし、大人しいヒナタと気難しいサスケとも仲良くやれている実績がある。
なら、イノが仲良くなれない理由はどこにもない。
「その時聞いちゃったんだけどさー。あの子、お菓子作りも趣味っぽいのよねー」
「え、そうなの?」
得られた確信を支えに、一歩抜きん出た優越感を隠しもせず、戸惑うサクラに嬉々として思い付いた腹案を打ち明けた。
「そうみたいなのよー。だからさー、中忍試験が終わったら、私達で手作りスイーツ持ち寄って、女子会しましょ−よ!死の森で振舞って貰えた料理の味からすると、ナルトの作るお菓子も相当期待できると思うのよねー」
イノの提案に、ぱちぱちと目を瞬いていたサクラは、直ぐに表情を明るくして乗ってきた。
「良いわね、それ!」
「でっしょー!?でも、私達がそんなナルトの作ったお菓子に劣る物を持ち寄るのは悔しいからさ、ナルトが中忍試験で手一杯な今のうちにお菓子作りの特訓しましょ!」
「そうね!」
にっこりと、出てきた結論に満足して笑いあって、くだらないおしゃべりを続けながら、イノはサクラと山を下って行った。
イノとサクラの家のある、木の葉の里に帰るために。
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