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NARUTO 桃風伝小話集
その43
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にしておく意味も。
ナルトに里人の悪意が集まる意味も。
ぞわり、と。
イノの全身に鳥肌がたった。
「でも、イノ。私、思い出しちゃったの」
これ以上は怖いから聞きたくない。
それがイノの本音だ。
でも、イノの前に居るのは他でもないサクラで、話題はついさっきまで一緒に居たナルトについてだ。
イノ達が追い詰めて、倒れさせてしまったのに、むしろ、気を使わせてしまった事を申し訳なさそうにしていたナルトの話だ。
次は遊びに誘うし、ナルトも誘えと言いつけたら、嬉しそうにひまわりみたいに笑ったナルトの事なのだ。
だからつい、意地を張った。
「な、何をよ!」
そうして、縋るように、途方に暮れた表情でイノを見ていたサクラは、意を決したように、青い顔のまま鬼気迫る真剣な表情で告げた。
「木の葉の、初代人柱力」
そう言われ、イノはひゅっと息を飲んだ。
木の葉の初代人柱力。
それは、初代火影の妻の、うずまきミトだ。
ナルトと同じ、うずまき一族の。
イノの背筋に更に悪寒が走った。
人柱力かもしれないナルトに対する本能的な恐怖が浮かぶ。
しかし、今日、改めて見つめ直したナルトは、かなり好感の持てるいい子だった。
イノはナルトが好きだと断言できる。
もっと仲良くなりたい。
だが。
そして、サクラは更に青い顔で混乱するイノに縋りながらこう続けた。
「それに、四代目の奥さん。確かうずまきクシナ様って。それに、四代目って、金髪碧眼で、いつも穏やかに笑ってて、頭が良くて、優しくて。忍びとしての才能に溢れた優秀な男の人だった、って…」
サクラの言葉が進む度に、混乱したままのイノの頭の中で、混乱しているからこそ、立て続けに並べられたサクラの言葉と、ナルトと四代目夫妻との相似が素直に浮かんでいく。
うずまき一族らしい赤い髪で、意外とけんかっ早くて口が悪い一面もあるが、それでもナルトは女の子らしくて繊細で、頭の回転が速く勉強熱心で、穏やかで、優しくて。
それに、青い目をしている。
そして、九尾が襲撃してきて、四代目が死んだ日が、四代目に拾われて、四代目から木の葉に託されたナルトの誕生日だ。
立て続けに並べ立てられた情報の巨大さに、くらりと眩暈を覚えつつ、サクラの言葉に呆けていたイノは、ふいに何故、ナルトがイノ達の身を案じ、きつく戒めたのかを悟った。
ナルトのこの環境は、上層部の意向とナルトは言っていた。
里の上層部はそれを知っているのだ。
そうして、ナルトの三代目に対する信頼と、三代目と対立する存在と、大蛇丸の前で出されたダンゾウの名。
確か、それは、先程も話題に出した、シカマルが気にしていた『根』に、深い関わりのある人間の名ではなかっただろうか?
イノの背筋に、ざっと冷たいものが走り抜けた。
「サ、サクラ!それ以上、言っちゃだめよ!
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