その42
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心境を吐露するサクラに、イノは思わず苦笑した。
あの頃から何度もサクラにかけた言葉を、立ち止まってしまって泣いているサクラを抱きしめながら送った。
「バッカねー。あんた、頭は良いんだから、ちゃんと人の話を聞いて、そう言った人の気持ちを考えなさいよ。それでナルトに正論で返り討ちにされてたら世話ないわよ?」
「だって!だって!!そんな事、ちっとも考えた事なんてなかったっ!私の気持ちが迷惑で、私の存在がサスケ君を傷つけちゃう事になるかもなんて、ちっとも思わなかった!ナルトが言った事なんて、今まで全然、これっぽっちも気づいてなかったし、考えてもみなかったの!だって!私っ!サスケ君が好きなだけでっ!私、別にっ、悪い事なんて何もしてないのに!サスケ君を好きだっただけなのに!なのに、なんで!なんでなのよおお!」
サクラの慟哭に、イノも胸が痛くなる。
そういう気持ちはイノにもある。
けど、サクラには見えないものが、まだ感じられない物が、代々忍の一族の家に生まれたイノには判るから。
「お腹が空いてて、食べ物を持ってない人にさ、目の前でこれ見よがしに両手いっぱいの食べ物を見せつけながら、飴玉一つだけなら分けてあげるーとかやったら、チョウジじゃなくても、誰だって頭に来て怒るでしょー?私やあんたや里の女の子たちは、皆、サスケ君にそういう事を気付かないうちに普段からしちゃってたのよ。サスケ君が好きだから。サスケ君に自分を好きになって欲しくて。なのにナルトは、サスケ君と同じかそれ以上にお腹が空いてておかしくないのに、サスケ君にも自分の分を分けてあげてたの!」
ナルトの、サスケに対する気遣いと接し方は、そういうことだ。
イノだって、少しはそれを感じないではなかった。
けれど、失ったものを見つめて思い詰めるより、未来に目を向けた方が断然良いと短絡的にそう考えて、イノが最初にサスケに纏わりつき始めたのだ。
本当は、そうし始めたあの時、複雑な表情をしたナルトから、イノは忠告を受けていた。
今は止めろ、と。
イノの行動は、サスケの為にはならないから、と。
それでもイノは自分の考えは間違っていないと思っていたし、ナルト自身、イノの言い分をある程度認めてくれてもいたようだった。
そうして最後に、複雑そうにしながら、それならせめて、サスケの反応をきちんと見ろと諭されて、ある日突然、イノもナルトが言うように、本気でサスケがイノを嫌がっていることに気付いたけれど、今更もう後には引けなかったし、他の女の子達もイノに便乗して、サスケに纏わりつくようになってしまっていた。
ナルトのあの様子では、イノ以外の子達にも、一人一人に行動を自粛して自重するように促してみては居たのだろう。
サスケと、一応はサスケを好きなイノ達の為に。
ナルトが溜め込んでいたあの鬱憤からすると、どれも実は
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