その42
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じていたサスケは、だからこそイノ達とナルトとの違いを、しみじみと感じていたに違いないのだ。
そうなれば、もう、後は坂を下り、転がるように、だ。
サスケが家族を失くし、一人になった時点で、イノ達の方がサスケにとっての対象外になったも同じような物だったのだ。
それに気付かず、サスケの傍に、サスケを慮り、細やかに気遣うナルトが居たのにも拘らず、サスケに強引に迫り続けた時点で敗北は決していた。
もう、お手上げ、だ。
完敗。
それしかない。
だって、イノ達の両親は、ちゃんと生きて傍に居て、今もイノ達をいろんな形で守ってくれているのだし、そんな事に気付かずにいられる『当たり前』を手にしているのだから。
しみじみと、ナルトが中忍試験第二試験終了前に、中忍の心得を記した掛け軸の前で呟いていた言葉がイノの身に染みた。
当たり前は壊れやすい。
上忍である父を持つイノにも、サスケやナルトの孤独な境遇は、明日の我が身だ。
けれど、仮にイノがそうなったと仮定しても、サスケやナルトの境遇にはまだ及ばない。
だって、父を失くしても、イノにはまだ母や一族の大人たちがいる。
ナルトの言うような、恵まれた立場に立ち続けてしまうだろう。
そうして、持てる者が持たざる者に行動を起こすには、慎重に接しないといけないのだ。
対象からの反感と、反発を、招くから。
忍としての授業の一環で教わった事が、今頃実感として身に染みる。
こんなこと、出来るならばこういう事で知りたくなどなかった。
けれど、知ってしまえば知らなかった頃には戻れない。
「あー。もう。納得するしかないわ。完敗よ」
言わずもがなな事に腹を立ててしまったイノは、そんなばつの悪さを誤魔化すように呟いた。
その時だった。
「そうね…」
イノの隣を歩いていたサクラから、酷く気落ちした声が漏れた。
照れからか、素直にサスケへの自分の気持ちを認めようとしないナルトを追い詰めすぎて、倒れかけさせてしまった事をきっかけに、イノとサクラはナルトの家を辞す事にした。
頑なに認めようとせず、緊張のあまりに気を遠くしたナルトの反応が気がかりと言えば気がかりだが、これだけ異常な環境下に置かれていては、ナルトの精神に深い影響を与えているのは想像に難くない。
イノが感じて忌避していたナルトの歪さも当然だ。
ナルトはそうやって自分の心を守っているのだろう。
そうして、甘栗甘でイノが感じ取ったように、ナルトは情の深い優しい人間だった。
優しすぎると言っていい。
忍には向いていない。
ヒナタにもチョウジにも感じた事を、イノはナルトにもそう感じた。
死の森で、イノ達の前でサスケが言い放った言葉に納得を覚えもした。
が、だ。
今は、イノが何もしてやれないだろうナルトよりも、隣を暗い面持ちで歩いているサクラへのフォ
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