暁 〜小説投稿サイト〜
NARUTO 桃風伝小話集
その42
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
山の中に一人で住んでるのよ!里の中じゃなくて!信じらんないわ!あの子だって女の子なのに!」
里への道程への道のりの長さに、不満が過るのは否めない。
思わずイノの憤懣が口を吐いた時、今日初めて知った詳しいナルトの事情と境遇を思い出し、その理由すら悟ってしまってイノは口を噤んだ。
そんな事は決まっている。
里の大人たちの悪意から、寄る辺ない身の上の女であるナルトの身を護る為だ。
男とされていた事も、こうして人里離れた辺鄙な所に住んでいる事も。
悟ってしまったイノの胸に、苦いものが込み上げる。
代々続く忍の家に生まれた娘として、くノ一が被る、女としての危険を口を酸っぱくして諭され続けてきたイノには判る。
ナルトの置かれて居る環境は、異常だ。
それに、あからさまな里の上層部の悪意が透かし見える。
それと同時に、その上層部の決定と意向に、素直に従っている里の人間達の歪みもだ。
ナルトの境遇に色濃く纏いつく、今までちっとも見えていなかった、里の人間達の悪意をこんなにもはっきりと目の当たりにして、イノは気が狂いそうだった。
人間の身勝手さと醜さを、否でも直視させられて、吐き気がする。
今までなんだかんだと、ナルトとは長い付き合いだったというのに。
イノはそれに気付きもせず、気付こうともしていなかった。
なのにナルトはそれを怒りもせず、当然のように受け止めて、その上でなお、イノとサクラを友として遇し、二人の身を案じもしてくれていた。
そんなの、イノ達が勝てる訳もないとそう思う。
サクラの引き出した、ナルトが良くアカデミーでも浮かべていた皮肉気な表情の、悪意に塗れた、幸せな人間という形容が重く圧し掛かっていた。
そこを否定する余地は、こんなにもまざまざとナルトの境遇を見せつけられては、少しもない。
そうして、だからこそ、サスケは自分達を見ないと言ったナルトの言葉の正しさに、納得しか覚えられない。
サスケも、かつてはイノ達と同じ所に居た。
そこからサスケは転落したのも同じなのだ。
サスケだって人間だ。
当然、負の感情だって持っている。
イノ達の敗因は、そんな当たり前の事にも気付かず、サスケの前で無邪気に振舞えていた幼さだ。
同い年とは到底思えないほどの達観した落ち着きと視点の広さと思慮の深さと、そんな落ち着きを身につけざるを得なかっただろうナルトの境遇に気圧されてしまって言葉も出ない。
納得。
そう、納得しか出てこない。
そんなナルトの、堰を切ったように溢れ出してきたサスケの事だけを案じる言葉の数々に、サスケがナルトを選んだ本当の理由をイノは悟った。
辛い状況にある人間が、あそこまで親身に気遣われて、心が動かないなんてことは、絶対にない。
そうして、サスケの環境や境遇を良く知るナルトだからこその、細やかな気遣いを肌で感
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ