その41
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ケに、サクラはほろ苦い気持ちを抱いた。
忍として対等に、サスケと意見を交わしたことなど、サクラにはない。
ましてや、スキルを確認し合うような事もだ。
任務上、何度か意見を交えた事もあるけれど、ここまで深く忍として関りを持ててはいない。
なのに、ナルトはそういう立場を得ているのか。
こんなに、何にもサクラと変わりのない女の子だったのに。
ナルトはまだ、人を死なせてしまったことに動揺して、取り乱している。
「でも!あの人、死んじゃって…」
「だからっ!そいつが死んだのは、そいつ自身が迂闊過ぎたせいだ!オレ達は忍だ!最悪の結末を避ける為にお前は十分以上に努力した!少し親切が過ぎるくらいだ!それに、お前の事だ。どうせ脅しがてら、何か適当な物でそいつに切れ味を実演して見せたんじゃないのか?」
「……サスケ。なんで、分かるの?」
必死にナルトを慰めようと尽力しているサスケの苛立ち交じりの言葉に、泣き声が混じっていても、いつも通りのきょとんとした声で訊ねたナルトに、サスケが笑って、目を細めたのがサクラにも分かった。
そして続いたサスケの声には、隠しきれないくらいにはっきりと、サスケの安堵と優しさが滲んでいた。
「このウスラトンカチ。何年お前と連んでると思ってる。お前のやりそうな事の見当なんか、すぐにつくのに決まってんだろう」
「…えへへ。そっか。サスケは、分かってくれるんだ」
嬉しそうに笑うナルトの声に、自分への失望と落胆を感じながら、悔しさに唇を噛み締める。
サスケに気遣って貰えるナルトが羨ましかった。
そうして、それが何故なのかと言う事を、痛い程理解してしまった。
だからこそ、ナルトを慰める為のサスケの言葉に、納得しか浮かばなかった。
「ああ。だから、そいつの事は今すぐ忘れろ。お前が記憶する価値もなければ気にする必要も全くない。馬鹿な自殺志願者に絡まれたお前にとっては災難だっただろうが、どっちにしろお前に非があるとすれば、お前の張った結界の効果を、親切に知らせてやったことだ。オレ達は殺し合いと騙し合いを常道としている忍なんだ。誰が敵の言う事をまともに受け取る。懇切丁寧に効果を説明やっても、かえって罠だと警戒させるのが落ちだ。だからそういう時は、いつもお前がしているように、敵が自主的に察するように上手く誘導しろ」
そうだ。
サクラ達が目指す忍というものは、そういう存在だ。
親切が、仇になる事もあるのだ。
優しい人ほど、忍である事に神経を擦り減らし、摩滅して、自滅していく。
アカデミーでも、そう教わってきた。
知識としては、理解していたのに。
こんな形で実感し、サクラは少し疑問に思った。
忍とは何だろう、と。
今まで、そんな疑問を感じたこともなかったけれど。
サスケの助言に、普段通りの調子を取り戻しつつあるナルトが、
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