その41
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に向いていないくらい、優しい子なのだろう。
売り言葉に買い言葉でぶつけ返してやっただけだけれど、ナルトが目覚めた直後に、サスケの言葉の尻馬に乗って言い返してやったサクラのあの時の言葉は、ナルトの真を突いていたのか。
だからナルトはあの時、表情を強張らせて青ざめて硬直していたのか。
と言う事は、ナルトも自分で自覚しているのか。
そして、何故か里の大人たちに爪弾きにされている両親の居ないナルトは、ナルトがサスケに言った通り、忍になる以外、安定した職がないのも、サクラは理解してしまった。
ナルトは、自称して、今サスケが肯定した通り、本当に、忍になるしか、生きてはいけない。
それ以外の道はない。
それ以外の道は、忍以上に後ろ暗い職ぐらいしかないはずだから。
嫌と言うほどその事実を痛感したサクラの胸に、暗澹とした重い気持ちが込み上げて来た。
今まで、感じたこともなかったほどの。
きっと、サクラがナルトから与えられた忠告の数々は、ナルトこそが自分に言い聞かせて来た事だったのだろう。
サクラが気付く、ずっとずっと前から。
きっと、忍術アカデミーに通っていた頃から。
もしかしたらその前からだったのかもしれない。
物心つく前の赤ん坊の頃から、ナルトは火影に保護されていたと聞く。
両親がいないから。
それがどういう事なのか、改めて、はっきりと理解したような気がサクラはした。
そしてそれは、この里で一人きりの『うちは一族』であるサスケもだったのだろう。
だからこそ、こうしてサスケは、ナルトを気遣い、心を砕く。
ナルトが本当は、心優しいただの女の子でしかない事を、サスケは知っていたから。
なのに、ナルトは、必死になって忍になろうと、こうして一人で歯を食いしばっているから。
敵わないな、と、素直にサクラの胸にナルトに降参する気持ちが浮かんだ。
同時に、ナルトの忠告を聞かずに勝手に死んで、ナルトの傷になったどこかの忍びに対しての怒りを覚えた。
「……そんな馬鹿の命を、お前が背負って気にする必要は全くない!」
ナルトの話を聞き終えたサスケの声には、サクラの感じたものと同種の怒りが籠っていた。
サクラとて、そう思う。
けれど、それでナルトは納得できないようだった。
「っでも!僕があんな結界張ってなかったら、そしたらあの人はあんな風に死ななかったしっ!」
「お前にあれをやらせたのは突き詰めればオレだ。今のお前に出来る事を見せてみろと、第二試験開始前にお前に言ったのはオレだからな。お前はオレのその言葉に乗っ取って、オレ達の睡眠中の確実な安全を確保しようと、今の自分にできる事を精一杯努力しただけだ!だからお前のせいじゃない!」
くぐもった声で声を荒げたナルトを宥め、サクラには窺い知れない事情を滲ませてナルトを納得させて諭そうとしているサス
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