その41
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滲むのはご愛嬌。
それくらいは当然のことだろう。
十分許容範囲内だと判断できる。
これは確かに、家族の居ない孤独なナルトが、サスケをきょうだいと感じるくらいサスケに全力で懐く筈だと実感していたその時だった。
心底不思議そうなナルトの疑問の声が聞こえてきた。
「僕、サスケにしかこういう事はされたくないよ?何で他の人にしてもらわなきゃならないの?」
サスケが絶句するのと同時に、サクラの息も止まった。
それは、ナルトに告白するどころか、それを飛ばして求婚していたサスケにとっては、かなり致命的な殺し文句だ。
だというのにだ!
「ヒナタにはしてもらいたいし、サスケとヒナタには僕もしてあげたいけど」
ぽやぽやとした平和な声で、ナルトがすんなりとそんな事をサスケに続けていた。
深い深い溜息がサスケの口から漏れる。
失恋したばかりではあるけれど、サクラの胸にはサスケに対する同情が湧いてきてしまっていた。
どうにもこうにも、サスケが置かれて強いられている境遇は、不憫の一言に尽きる。
はっきり言って、可哀想だ。
「今はそれでも良い。とにかく、他の男には絶対にするな!いいな?」
「うん。分かった!サスケにはしてもいいってことだね?えへへ、サスケ大好き!」
「そうじゃなくて!ああ、もう、好きにしろ。ったく。はあ…」
一生懸命、無邪気なナルトに女としての自覚を持たせようと苦闘し、明後日の方向に解釈して更にサスケに懐くナルトとの攻防を知ってしまったサクラの胸に、謎の使命感が湧いていく。
これは、サスケ一人でどうこうさせていて良いものではない筈だ。
イノにも協力させて、早急にナルトを教育しようと決意する。
そうでなくては、サスケの恋心が哀れ過ぎる。
サクラが失恋する価値すら消し飛んでしまうくらいに。
夢現にそう思ったその時だった。
「ナルト」
とても真剣なサスケの声がナルトを呼んだ。
「お前、自分は死んでも構わないと少しも考えなかったとオレに誓えるか?そしてこれからも考えないと誓えるな?」
妙に重い物を感じさせるサスケの詰問に、サクラの意識が再び浮上する。
そして、即座に即答して肯定すべき類のサスケの問い掛けに、何故かナルトは沈黙している。
その事が、サクラを何故か不安にさせて、意識を更に覚醒させていく。
「……当たり前だよ。僕、まだ、死にたくないもん」
漸く出て来たナルトの声は、絞り出すように揺れていた。
遣り切れなさそうな苦さを含んだサスケの溜息が漏れ、得心したような声が漏れた。
「通りでお前らしくもない冷静さを欠いた判断が続くと思った。お前、ずっと動揺してやがったな?」
呆れたようなサスケの言葉の意味が、サクラには掴めない。
だが、ナルトとサスケの間では通じているらしい。
ナルトはサスケの言葉に沈黙を返したまま
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