その41
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なる頃に、何度も差し出されていたから。
それはサスケにも同様に。
毒舌家で喧嘩っ早い所が玉に瑕だが、あれは、誰も守ってくれる者の居ないナルトが、一人きりで自分を守るための虚勢だったのだろうと、ナルトと仲良くなりつつある今は思える。
サスケの言う通り、訳の分からない火影命令で、ナルトは無理矢理男として生活していたけれど、それでも隠し通せないくらいナルトの嗜好は全て女らしい。
料理好きな所も、花が好きな所も、動物が好きな所も、必死になってナルトが隠している虫がダメな所も、全部全部ナルトの女の子らしさの証拠だった。
ナルト自身は必死に忍になろうとしているけれど、ナルトは普通の女の子として育っていれば、きっとヒナタと同じように穏やかでお淑やかな女の子らしい子だったに違いない。
そんなナルトの事を、誰よりも身近で見ていたサスケが、ナルトに惹かれない訳が無かったのだ。
怪我の影響で丸一日寝込んで、それでも十分驚異的な回復力を見せて目覚めたナルトに向かって、サクラやイノ達アスマ班の面々の前で言い放たれた、サスケのナルトへのプロポーズを思い出し、サクラは内心溜息を吐く。
きょとんとした表情で、頓珍漢な事をナルトはサスケに諭していたが、あれはサスケからのナルトへのプロポーズに他ならない。
つまり、サスケはもう、ナルトに心を決めてしまっているのだ。
波の国以降のサスケの姿や、今回の意識を失ったナルトを大切そうに抱き締め、額に口付けるサスケの姿、敵を撃退した後のナルトの様子を心配そうに伺う姿等々に、薄々イノ共々察してはいたが。
失恋決定、だ。
但し、ナルトの気持ち自体はまだそういう意味ではサスケに向いていない。
だからこそ、そこに付け入る隙が無い訳では、まだない。
大分、可能性も確立も低い、負け戦になる事請け合いの予感がヒシヒシとする隙だけれど。
だから、勝敗はまだ完全にはついていない。
それでも、失恋は失恋だ。
サスケの気持ちが決定的にナルトにあるとハッキリしてしまったのだから。
だから、ナルトとサスケと過ごす事に気まずさを覚え、サクラ達カカシ班の待機場所として振り当てられた部屋内で、疲れを理由に早々に休ませて貰っていたサクラだったのだが。
「サスケ、起きてる?」
そっと声を潜めた、初めて聞くようなナルトの心細さを滲ませた頼りない囁き声が、夢現のサクラの耳に届いた。
「ああ」
そんなナルトの声に応える、聞いた事もないくらい、穏やかで優しさを滲ませたサスケの声も。
「寝付けないのか?」
「…うん」
甘い声でナルトに尋ねるサスケに答えるナルトの声も、聞いたことがないくらい幼さを滲ませていて、サスケに甘えているのが分かる声音だった。
「仕方ねえな。こっちに来い。今だけ特別に甘やかしてやる。少しだけだぞ」
「うん!ありがとう!」
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