五十六匹目
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…ごろごろ…」
「ここか? ここがいいのか?」
猫が顎の下を撫でられてごろごろと音を出す。
「どうしたアーネスト? 羨ましいのか?」
「いえ…」
「なぉーん…?」
いつの間にか、アーネストが座るソファーの肘掛け部分に猫が居た。
「………………………………」
「にゃぅ?」
こてん、と首をかしげる猫。
アーネストが手を伸ばし、猫を抱く。
「うにゃーん♪」
「お、おぉ…!」
手に感じるモフッとした反発にアーネストが驚きの声をあげる。
綺麗に整ったその顔の、瞳をキラキラと輝かせる。
まるで子供のようなその瞳を見てアルフレッドはクスリと笑った。
暫くして、二人の前に注文した物が置かれた。
「ふむ…?」
丸い皿の上に少しずらして置かれた二枚のホットケーキ。
その横に置かれた注ぎ口のついたカップには練乳がなみなみと入っている。
そこまではいい。
問題は……。
しゅわしゅわしゅわしゅわしゅわ……。
「これは飲んでも大丈夫な物なのだろうか」
炭酸が目一杯入ったサイダーだ。
その様子は酸に金属を入れたときのようで、飲むには躊躇う。
この世界にも炭酸の入った酒はある。
ありはするのだが、ここまで派手には炭酸が出ない。
「大丈夫でしょう。空戦遊撃隊の隊長も飲んでいますし」
アーネストが指差したのはドラゴニュートの女性客三人……攻勢師団群第五師団空戦遊撃隊隊長とその副官二名だ。
「そうだな。それに、その程度で死ぬ体でもないしなぁ」
アルフレッドがサイダーにつけられたストローを加えた。
その瞬間強烈な炭酸がアルフレッドの口に広がった。
コクリとアルフレッドの喉が動く。
「なんと刺激的な…!」
驚くアルフレッド。
アーネストもサイダーを口に含む。
「おお……これは……新しいですな」
コトリとサイダーのグラスを置く。
「さてホットケーキだが…これは牛乳か…? それにしては粘度が高いが」
ホットケーキに練乳をかけながらアルフレッドが呟く。
練乳をかけたホットケーキを切り分け、口に運ぶと…。
「こ、これは牛乳ではないな…。これはなんだ?」
「私に聞かれましても」
「それにこの生地も不思議だ…」
二人は無言でパクパクとホットケーキを食べ、直ぐに完食した。
ウェイターがいいタイミングで皿を下げる。
そのあと二人は時を忘れて猫をモフっていた。
そう、時を忘れて。
「アルフレッド? 一向に戻ってこないと思ったら何をしているの?」
「つぇ、ツェツィーリア!?」
「母上っ!?」
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