第五十八話 入学前のその二
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「もう一気に身体を休めることは出来るから」
「寝るってそれだけでってことだからね」
「身体も休められて」
考えてみるとそれだけではないです。
「心もね」
「完全に意識が飛ぶとね」
それが少しの間でもです。
「頭の中もすっきりするし」
「だからいいの」
「それじゃあ本当に」
「春休みの間は」
「おみちのことどんどんやらせてもらうわ」
お母さんにはっきりと言いました。
「そうさせてもらうわ」
「千里は相変わらずね」
「だってうち教会だし」
やっぱりこのことが大きいです。
「信者さん達もよく来られるしね」
「八条家の方々もね」
「だからね」
信者さんの中でも一番大きなお家です、総資産何百兆円という世界的な企業グループを経営しています。
「これまで通りね」
「お家にいる時みたいに」
「いさんでいくわね」
「そこまで言うなら」
お母さんもでした。
「寝ることは忘れないでね」
「そうしてよね」
「いさんでいってね」
私自身が言う様にというのです。
「そうしていってね」
「ええ、入学までもね」
「そうしてせいじんしていくのね」
「それじゃあね、ただね」
「ただ?」
「あの子また来るのよね」
急ににこにことしてです、お母さんは私に言ってきました。
「そうよね」
「阿波野君ね」
「そう、あの子いい子よね」
「全然よ」
何処がどういい子かわかりません、いい加減で適当でしかも私にいつも小さいとか言って来る様な子です。
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