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戦国異伝供書
第八十二話 本山城へその八

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「我等にとっても義理の兄上にあたられる方なので」
「以後はか」
「是非当家において働いて欲しいと」
「そう言われるか」100
「これまでのことはこの戦で終わりました」
 こうも言うのあった。
「ですから」
「遺恨もか」
「終わりということで以後は」
「この土佐においてか」
「共に暮らしていきませぬか」
「信じられぬ」
 親泰の話を聞いてもだった、茂辰はこう言うのだった。
 だが今の本山家の状況では頷くしかなかった、それで親泰にこう話した。
「長曾我部殿に伝えられよ、是非にとな」
「それでは」 
 親泰は茂辰の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼は元親に茂辰の言葉を伝えた、するとだった。
 元親は微笑み彼に言った。
「よし、ではな」
「これよりですな」
「本山家は我等の親類衆じゃ」
「そこに入りますな」
「そうする、もうこれまでの怨恨もな」
 これもというのだ。
「終わりとしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「本山家には紫の衣を着てもらう」
 長曾我部家のそれをというのだ。
「そしてじゃ」
「この土佐の統一にですな」
「力を貸してもらう」
「さすれば」
「さて、本山家の領地を治めるが」
「それと共にですな」
 今度は親貞が言ってきた。
「我等は」
「うむ、本山家は降した。次はな」
「東の安芸家ですな」
「あの家を降してな」
「そうしてですな」
「土佐の東を抑え」
「四万十川の東岸までも」
「領地とする」
「そうしますな」
「その様にな、ではな」
「今度はですな」
「安芸家じゃ」 
 土佐の東にいる彼等だというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「戦まで政を行うにしてもな」
「次の敵は安芸家ですな」
「このことは絶対じゃ」
 この家以外ないというのだ。
「ではよいな」
「さすれば」
 家臣達も頷いた、こうしてだった。
 本山家は長曾我部家に降り長曾我部の親類衆に迎えられた。他の本山家の者達も長曾我部家に入れられることとなった。
 かくして元親は長年の宿敵を倒しただけでなくその力をそのまま自家の力とした。そしてその分長曾我部家の力は増し。
 土佐の中央部の国人達は次々と彼に従っていってだった。
「そうか、遂にか」
「はい、我等はです」
 親貞が岡豊城で元親に話した。
「四万十川の東岸まで」
「全て領地としたか」
「土佐の東と四万十川の西以降までは」
「よいことじゃな、これでじゃな」
「はい、当家は土佐のかなりの部分を領し」
「兵の数もな」
「五千に達しています」
「対する安芸家は二千」
 元親は敵のことも話した。
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