装者達のサマーバケーション
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偉い子ね。慎次さん!」
「ええ。近くに迷子センターがあります。そこまでご一緒しましょう」
姉弟を迷子センターまで連れて行くと、二人の両親は既に来ていた。
家族に礼を言われながら、翼と緒川はその場を去る。
「見つかって何よりでしたね」
「ええ……」
「それにしても、まさかカップルどころか、若い夫婦だと思われるとは」
「そ、それは言わないでください……!」
姉弟の母親からの勘違いに、翼は頬を紅潮させながら慌てる。
「だって……慎次さんとは、まだそういう関係じゃないですから……」
「え?」
「あっ……!!」
自分が何を言ってるのかを理解し、翼はその恥ずかしさで耳まで真っ赤になる。
「翼さん、今のは……?」
「わわっ、忘れてくださいッ! 今のは気の迷いですぅ!」
(いつか、翼さんがそう望んでいるのなら……。僕も、彼女に相応しく在らなくてはいけませんね)
慌てて両手をばたつかせる翼を、緒川は何も言わずに微笑みながら見つめるのだった。
ff
「藤尭くん?」
「……何ですか?」
「もう、さっきからボーとしてるじゃないの。何処か具合でも悪いの?」
友里に顔を覗き込まれる藤尭。
一瞬、谷間と揺れるメロンに目を奪われかけ、慌てて後ずさる。
「いやっ、別にそんな事はッ!!」
「なら、シャキッとする! で、了子さんから頼まれてるベストショットは、やっぱり夕暮れ時が一番かしら?」
「そ、そうですね〜。俺もそう思いますよ」
(危なかった! またあおいさんの水着姿に見とれていた、なんて言ったら絶対引かれるよ……)
心にモヤモヤとした感情を隠しながら、藤尭は友里と会話を続ける。
「若いな……」
そんな藤尭の心を見抜いたかのように、弦十郎は呟いていた。
「司令もそう思いませんか?」
「ん? そうだな、俺もその時間帯が良いと思うぞ」
「じゃあ、夕陽をバックに決定っと。じゃあ、まだまだ時間あるし……藤尭くん、泳ぐわよ!」
「え? でも、俺達まで遊びに出たら荷物番が……」
「遠慮はするな。荷物は俺が見とく」
「ほらほら! グズグズしてると置いてくわよ?」
「司令……任せます! 友里さん! 待ってくださいよ!」
海へと駆け出す友里を追い掛ける藤尭。
それを見送りながら、弦十郎は青空を見上げる。
「この光景を、了子君にも見せてやりたかった……」
今は大事をとって入院している櫻井了子を思い、弦十郎は密かに呟く。
(来年は、了子君も加えてまた来たいものだ。きっと賑やかになるぞ)
スポーツドリンクを一杯口に含みながら、弦十郎は浜辺で各々海を満喫する部下達を、微笑ましく見守るのだった。
ff
日が落ちる時間になり、
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