暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・53
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揃えて買ったティーセット、阿賀野姉が何度壊した事か……。最終的に能代が折れて、阿賀野姉のだけプラスチックのにしてたもの」

「おぉう……」

 ティーセットって高いからなぁ、ウチのカミさんのお気に入りの奴を俺が万が一壊したとしたら……想像するだけで恐ろしい。ヤベェ、能代に頑張れって言ったけど……早まったかもしれん。

 後片付けをして、残っていたシフォンケーキーー俺が矢矧の為に焼いた奴を食べていると、オーブンから焼き上がりを告げるベルが鳴った。

「うわぁ……見事に膨らんでるわね!」

「あぁ。元々のシフォンケーキのレシピにはベーキングパウダーも入ってたそうだが、しっかりと泡立てたメレンゲであればちゃんと膨らむからな」

 オーブンから取り出して粗熱を取り、型から外す。金属のだと型の外周に菜箸やナイフ、面倒であれば自分の指なんか突っ込んで型から剥がさないといけないが、使い捨ての紙型なら最悪破いても良いからな。楽チンだ。後は見た目に拘るなら膨らんだ上の部分はカットして、出来上がり。食べる時には適当な大きさにカットして、ホイップクリームなんかを添えて。

「カットした上の部分、食べるか?」

「食べる!こういう切れ端とかって、作った人だけ食べられる特権よね」

「まぁ、お菓子メーカーとかだと訳あり品みたいな感じで売ってたりするけどな」

 矢矧が顔を綻ばせて、カットしたシフォンケーキの上の部分を食べている。普段はキリッとした雰囲気のクールな奴だと思ってたが……いやはや、こういう女の子っぽい一面もあったんだな。

「?……どうしたの提督、私の顔に何か付いてる?」

「いや、矢矧もそういう可愛い顔する事あるんだな〜と思ってな」

「なっ……////」

 矢矧の奴、一気に顔が赤くなったぞ?

「ん、どした?」

「そそそ、そんな不意打ちで可愛いとか言わないでよ!対処に困るでしょ!?このスケコマシ!」

「ひでぇ」

「ああああぁ、もう!これが大和の言ってた『提督の天然ジゴロ狙撃』なのね……本当に奇襲過ぎるわ、コレ」

 なんだその間抜けな必殺技は。こりゃ後で大和に事情聴取決定だな……。
 
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