46 ピアノへの情熱
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」
こうして皆は外に出て遊びに行った。
皆は缶蹴りをして遊んだ。缶蹴りというのはスリルがあるが、鬼の方も逃げる方もかなり走り回るので労力がいる。かよ子も何度か鬼になったりした。そしてある時、藤木が鬼になって逃げている所、杉山はある姿を発見した。少し離れてりえがせき込んでいた。
(あ、あいつ・・・)
杉山は考えた。風邪が流行っているわけでもないのに彼女だけむせこんでいるのは普通じゃないと。彼女にいったい何かあるのか、と。
皆は汗びっしょりになって疲れた。
「はあ〜、缶蹴りって案外体力使うなあ〜」
藤木はもうくたくたになってしまっていた。
「うん・・・」
「何を言ってんだ。次はドッジボールだ!」
大野が提案する。
「ドッジボールもいいけど、その前に休憩しねえか?」
「そうだね、アタシゃアイスが食べたくなってきたよお〜」
「うん、僕も、丁度アイスが食べたい気分だったよ!」
「じゃあ、みんなでみつやにアイスを買いに行こうかよ!」
たまえが提案した。
「みつや?」
りえが聞く。
「私達がよく行くお菓子やアイスを売ってる店だよ」
「へえっ、行きましょうっ!」
皆はみつやへと向かった。途中、かよ子は歩きながら、杉山の顔を盗み見た。普段なら大野と楽しく話すはずだが、この時に限ってはりえの方ばかりを見ている。
(す、杉山君・・・)
かよ子は疑った。大野と同様、本来杉山は硬派のはずだ。にもかかわらず、りえの事を気にしているという事は・・・。
(もしかして、す、杉山君、りえちゃんの事が・・・)
かよ子は心の奥底にて猜疑心と嫉妬が込み出した。しかし、杉山に確認する勇気は出なかった。
皆はみつやでアイスを買った後、神社の木陰でそれを食べる事にした。
「りえちゃんは毎日ああやってピアノの練習してるのお〜?」
「うん」
「夏休みだって言うのに、毎日練習してるなんて偉いね!」
「ホント、アタシなんていつも宿題もしないでダラダラしてるだけだよお〜。いつもお母さんに怒られてるよ」
(まさか、まるちゃん、まだ宿題やってないんじゃ・・・)
かよ子は推測した。
「私ね、将来ピアニストになりたいのっ!それが夢なのっ!」
「ピアニストか、凄いね!」
「りえちゃんならきっとなれるよ。凄いピアノが上手いんだもん!」
まる子とたまえは感心した。
「昨日弾いてた曲は何なのお?」
まる子が聞いた。
「『亜麻色の髪の乙女』って曲よ」
「亜麻色?どんな色?」
「薄い茶色って意味よ」
「じゃあ、りえちゃんにぴったりの曲だねえ〜!」
「まさに亜麻色の髪の乙女って感じだなあ〜」
まる子と藤木はそう思った。しかし、杉山はそうは思わない。
「コイツのどこが乙女なんだよ」
「それどういう意味っ!?
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