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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第26話:一時の静けさ
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た。
「おいおい…………嘘だろ? あのおっちゃん何で魔法の鎖引き千切れんだよ? 生身の人間だったらピクリとも動かせない筈だぞ?」
「旦那に理屈を求めちゃダメだよ颯人」
一方翼に関してだが、こちらは思いの外傷が深く、命に別状は無いが一カ月の入院を余儀なくされていた。
あれほどの一撃を喰らい、それでも一カ月の入院で済んだのだから運が良かった方だろう。まだ意識は無いままだが、医者の話ではそう遠くない内に目覚めるだろうとの事だ。
「しっかし、今更になってだけどあの時の一撃って何だったんだろ? 了子さんが言うには絶唱に匹敵する威力とフォニックゲインだったらしいけど?」
「あれはほら、透だったか? そんな風に呼ばれてた奴が演奏で向こうの装者にバフ掛けしてたんだよ」
この日、定期的なミーティングの為に二課本部の司令室で待機していた颯人と奏、響は弦十郎が来るまでの暇な時間に先日の戦闘に関する考察を行っていた。
奏が知る限り、あれほどの威力は普通ではない。それこそ、絶唱でも使わない限りは不可能だった。
その疑問に対する答えを颯人は知っていた。あの時クリスが矢鱈と高威力の攻撃が出来た事には、ある意味当然と言うべきか行動を共にしていた魔法使い=透の存在に秘密があった。
「演奏って、あの剣をヴァイオリンの代わりにしてた奴か?」
「そう。あのヴァイオリンで演奏するとどうも味方にバフを、敵にはデバフを掛ける事が出来るみたいだな。それがあのクリスって子の適合係数を上げて負担を限りなく下げ、代わりにこっちの奏達のギアの適合係数を下げて戦えなくしてたんだろ」
「あれ? でも奏さんは普通に動けてませんでした?」
「そりゃ奏の負担は全部俺が受け持ってるからな。絶唱を歌ったとしても奏には何の影響も無いぜ!」
考察の中、響がふと口にした疑問に颯人は自慢げに答える。
だがそれに黙っていない者が居た。そう、奏だ。
奏にとって、自身に掛かる負担が全て颯人に向かうと言う颯人に掛けられた魔法は呪いにも等しい。
単に全力が出せないだけではない、今回の様に何かの拍子にギアのバックファイアを受ける際、意図せずに颯人に要らぬ負担を掛ける事になるのだ。それも命を削るほどの負担を…………。
自分の所為で颯人が命を削る、そんな事を奏が許せる筈がなかった。
「威張って言うな馬鹿ッ!? いい加減この魔法解けッ!?」
「そんで奏が無茶して死んだりするのを黙ってみてろってか? 出来る訳ないだろそんな事」
「颯人の事が心配だって言ってんだよッ!?」
「それはこっちも同じ事。本当だったら戦いから遠退いてほしいくらいなんだが、奏の事情を考えれば俺にそこまでのことは出来ねえよ。となると、俺に出来る事なんてお前が無理しないようにしつつ
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