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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋神の巫女と魔剣《デュランダル》 X
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ら軽快な38口径と重厚な45口径の銃撃音が鳴り響く。これこそが好期だ──というかのように、《明鏡止水》は視界そのものを明瞭に変貌させていく。
虚空を切り裂いて螺旋状に進む、2発の銃弾。それらは既にジャンヌの胴甲冑に狙いを定め、脇腹を穿つ寸前だった。
武偵法9条。武偵は致命傷を負わせることがどれほど危険か理解している。だからこそ、四肢や胴を目的として発砲するのだ。
その点、2人の銃技はやはり精度が優れている。ここで発砲したのは、どうにも自分に自信を持っていることの表れだ。
笑み、銃弾に焦点を合わせながら、策の名を口にする。
────《浜千鳥》
刹那、 銃弾の表面を幾重にも枝分かれしたような霹靂が覆い尽くす。虚空を千鳥のように鳴いて切り裂く様は、さながら一筋の迅雷のようだ。それが描いた軌跡でさえも、いまは見える。
ジャンヌは眉を顰めて訝しみ、なおも瞬時に氷霞を結合させ──前面に展開させた。
一面の防御壁で銃弾を避けるというだけでは、稚拙な解釈だろう。幸か不幸か、氷は絶縁体だ。これに尽きる。
銃弾は壁を穿つかと思われたが、その判断こそが稚拙だった。よくよく考えてみれば、焔の弾幕ですら無効化したのだ。銃弾ならば尚のことだろう、と思い至る。
「如何にも幼稚としか……。そうだろう、陰陽師」
結合した氷霞から2発の銃弾が虚空を伝って落下する。金属の床に触れると、澄んだ音を立てて鳴いた。
……恐らくジャンヌは、銃弾に対する対処法をある程度持っている。結合させた氷霞で壁を作り、更に冷気を流し込むことで瞬間冷却させてゆく──その僅かなタイミングを、見逃すことなく。
「やはり、強いね」
洩れ出た嘆息を諸共に掻き消す程の勢いで、ジャンヌはそれを具現化させて見せ付ける。先程よりも僅かに増した冷気の中で、氷霞は礫に変貌し、視認する暇すら与えずに頬を掠めてゆく。
──が、そんな擦り傷などはどうでもいい。決める時に決められない人間なら、何をやろうとしても、どうせ。
そんなことを思いながら、柄を握る手に力を込めた。浅緋色の焔は、息吹いたかのようにその首を擡げる。
「──《
鳳仙花蔓
(
ホウセンカズラ
)
》」
緩慢と楕円を描く一振りは、ジャンヌには到底届いていない。
ただ虚空を撫でただけの浅緋は、さながら泡沫のように霧散するかと思われた。炎舞にもならぬそれは、そっと火の粉を散らしながら、はらりと揺蕩う──。
怪訝な雰囲気が立ち込めた刹那、ジャンヌの周辺を囲繞するかのように、文字通りの灼熱が覆い尽くした。
顕現された幾つもの鳳仙花は天井から棚引き、総じて焔を纏っている。妖艶な風を漂わせて、花弁を落としては靡かせていた。
蔓もまた意志を持つかのように
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