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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋神の巫女と魔剣《デュランダル》 X
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せられるわけだ。

直接的に地下倉庫全体を冷却させて室温を下げたことで、こちら側の体温調節機能を低下させ、運動能力も諸共に──ということだろう。あの一瞬で、彼女はここまで読みを入れていたのだ。

床を一瞥する。微かな霜が立っていた。
躊躇している暇はない。対抗策を練っている間にも、冷気はますます強まっていく一方だ。長期戦になれば、負ける。
この局面、どちらに耐性という名の分があるかは一目瞭然だ。だから、ここで決めに行く。質と数でなら、勝てるはずだから。

──煙は、いつの間にか晴れかけていた。剣を手にしたまま微動だにしないジャンヌの周囲には、輝石のように銀氷(ダイヤモンドダスト)が塵撒いている。その顔は、笑んでいた。
こちらに一杯やり返したことに対しての愉悦だろうか。……いや、何なのかは差し当たり分かることでもない。特に気に留めることでもない。やることはただ、1つだけ。

そんなところで、軽快なアリアの声が響く。


「寒いから早く終わらせましょ。季節外れもいいとこだわ」
「……うるさすぎってのが難点だがな、アリアは」


2人は何ともなしに、こちらに歩を進めてくる。
後方支援を頼んでおいたのに、何だかんだで我慢できずに来ちゃうんだね──と言いかけた口は、噤んでおいた。
アリアも《魔剣》ことジャンヌ・ダルクには私怨があるだろうし、ましてや幼馴染を傷付けられたキンジも尚更だ。この2人には、共通して思うところがある、ということなのだろう。

なるほどねぇ、と呟いてから、2人に警告する。


「それなら、アリアもキンジも。……今までは力を抑えてたっぽいから黙ってたけど、今からは銃は使わないでね」
「……ごめん」「……悪かった。忘れてた」
「まったく……。地下倉庫は名ばかりの火薬庫だよ」


「学園島の人間の生命がここに凝縮されていると言っても過言ではないよ。絶対に外さない自信があるならいいけどね」
付け加え、ホルスターに収めようとする2人に笑いかけた。
少なからず、俺は2人を信頼している。それに、本当なら銃を使ってもらった方が都合がいい。策は1つじゃないからね。


「それじゃあ、先攻」
「──ッ!」


縮地で間合いを詰めたと同時に、《緋想》を薙ぐ。ジャンヌから何か感情の凝縮されたような吐息が、洩れた気がした。
やはり焔に対しては意志を決めきれないのか、僅かに後退しつつも──その強靭な《魔剣》で跳ね返してくる。僅かな火花が散るに合わせて、空気中の氷霞が融けていった。

その威力を利用して1歩脚を引き、身体を低く構えて下段から斬り上げる。即座にバックステップしたジャンヌが逃げ切ったと見えたが、焔がさながら毒蛇のように牙を剥いて噛み付いた。
勢いそのまま、背後か
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