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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋神の巫女と魔剣《デュランダル》 X
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言葉は時にして祝詞でもあり、呪詛でもある。『言霊』とはよく言われたものだが、生殺与奪の権を手中に収めているのは、ある意味を以て、その発声者に他ならない。
それが何を意味するのか──詩であろうが、それが示唆するものは誰しも、朧気ながら察しがつくはずだ。
「ッ……!」
「……言ったろう、ジャンヌ。君は俺を過小評価している、と」
地下倉庫内の気が、秒針を噛む度に熱を帯びてゆく。
それは、たった一振りの日本刀に。焔を身に纏った、華奢な身?であるというのに。そして、最も荘厳でもあるのだ──。
浅緋色の焔は時にして朱を纏い、時にして淡く揺らめく。
────《
浅緋
(
あさあけ
)
の
蛇蝎
(
だかつ
)
》
「陰陽術は、《境界》だけじゃない。我らが始祖、安倍晴明がどうして陰陽師たりえるのか──その理由が、《五行陰陽》だ。この焔はそのうちの1つ。君に渡そうと思っていた、切り札だよ」
「それを私に手渡すためだけに、わざわざ隠し持っていた……と。なんともご苦労なことだ。礼を言おう」
「ふふっ、どういたしまして」
ジャンヌには僅かな動揺が見られたようだが、これはこちら側にとっての大いなる好機。策士が読めなかった、ある種の奇策だ。
しても、挑発を軽く受け流してくれるくらいには、適応力の高い能力者とも言える。楽観論で済む相手ではなさそうだね。
「……ふむ」
《緋想》を構え、焼灼する焔の手応えを確認する。件の空白期間で少々衰えがあるかとも思ったけど……幸いにも、今は目に見えるほどではないね。これなら戦力としては十二分だろう。
アリアには勿論、キンジにも滅多に見せていない陰陽術──《五行陰陽》が、ここで日の目を浴びたということだ。
普段の生活や戦闘なら《境界》で事足りる。しかし、陰陽術がこのレベルまで達するのは、正直言って、異常だ。
……まぁ、相手は《イ・ウー》なのだ。理子は例外だけれど、本来ならこれがあるべき片腕なのかもしれないね。
「……油断、出来ないねぇ」
滾り、焼灼する浅緋のその奥を見据える。
──数多の謂われの残る、聖剣デュランダルを。それを統べる聖女、ジャンヌ・ダルクを。
そして、彼女の周囲を舞い纏う、氷霞を──。
チラリ、と後方を見やる。銃を携えている、アリアとキンジが視界の端に映った。自分の唯一の後方戦力。
……そして、どうあろうと護るべき存在でもある。ジャンヌが危惧しているのは、この2人なのだが。
「まぁ、些細なことか」
さて、
「これで終わらせようか。アドシアードは無事に開始させたいのでね。早朝からこうして相手してあげているんだ。それなりの対価は、俺たちが貰うからね」
「私は、貴様のその態度が気に食わな
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