第4話 共同偵察
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
門』より出でた2つの敵の動向が気になります。
アルヌスの敵は丘から一歩も出ておりませんが、オ・ンドゥルゴの敵は周辺の村々を占領しております。」
「たかだか地方の村々の心配をするとはそなたもいささか神経質じゃな。
マルクス内務相。」
「は……。生来のもの故………。」
モルトは座っている姿勢を整えるとマルクスに指示した。
「よかろう。はらば股肱の民を安堵させてやるとしよう。
アルヌスとオ・ンドゥルゴの占領地より帝都に至る全ての街・村を焼き払い、井戸には毒を撒け。食糧・家畜は全て運び出すように命じよ。さすればいかなる軍勢でも立ち往生しよう。そこに付け入るのだ。」
「……焦土作戦でございますか。
……しばし税収が低下しそうですな。」
「致し方あるまい。園遊会をいくつか取りやめ、離宮の建設を延期すればよかろう。」
モルトは勘違いしていた。確かに防衛軍と自衛隊が中世ヨーロッパの軍隊のように占領地での略奪で物資の補給を賄っていればモルトの思惑通り、立ち往生していただろう。
しかし、ショッカーと日本国には兵站の概念があり、いくら焦土作戦を行おうと意味がない。焦土作戦など行っても民から恨まれ、帝国に対する愛国心や敵に対する戦意を奪うだけである。そもそも彼らは異世界軍の現代軍であり、この世界の戦争の常識は通用しないのだった。
マルクスがモルトに小さく発言する。
「しかし、焦土作戦はカーゼル侯あたりがうるさいかと存じますが……。」
モルトは唐突にカーゼル侯爵の名前が出たことが意外で、マルクスに尋ねる。
「なぜ余がカーゼル侯にまで気を配らねばならぬのか?」
「は……怖れ多きことながら、陛下罷免の為の非常事態勧告を発動させようとする動きが見られます。」
「ふむ、おもしろい。元老院にはしばし、好きにやらせておけ。
枢密院には"よきにはからえ"とな。」
「はっ……。」
(このあたりで元老院を整理せねばなるまい。)
モルトがそう考えていると……。
「陛下!!!」
謁見の間の扉を派手に開け、赤毛の女性がズカズカと入ってくる。
モルトの娘であり、帝国第3皇女のピニャ・コ・ラーダであった。
「ピニャ・コ・ラーダどうしたのか?」
ピニャはひざまずき、頭を垂れて言う。
「陛下は帝国が危機的状況にある今、何をなされているのか!?
耄碌なされたか!?」
マルクスはピニャの暴言とも取れる発言に驚き、たじろぐ。
「で、殿下!いったいなにを―。」
「無論、アルヌスとオ・ンドゥルゴの丘のことだ!」
「マルクス。そなた、陛下にありのままを申し上げたか?」
「も、勿論ですとも!
異世界の蛮族共は諸王国軍の猛攻撃で一
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ