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提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・52
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「違いますよ!?ただ、阿賀野姉ぇ放っておくと部屋が大惨事になるから……」

「はいはい、わかったわかった。ただなぁ、何もさせないってのも余計にダメなんだぜ?」

「え、そうなんですか?」

「あぁ。人間てのは同じ状況下にずっと置かれるとその状況が普通なんだと身体が覚えちまうんだ。すると、どうなると思う?」

「……どうなるんですか」

「世話を焼いて貰うのが当たり前だと思って、余計に何も出来なくなる」

 認知症の人が良い例だろう。軽度の認知症の症状が出てきたからと、何もさせないでいると脳への刺激が無くなって症状が加速する。逆に、見守りながらでも一緒に作業すると回復する事は無くとも症状の進行が遅くなるんだ。

「それに、山本五十六提督の有名な言葉にこんなのがある。『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ。褒めてやらねば、人は動かじ』ってな。意味わかるか?」

「えぇと……手本をやって見せて、どうやるかを説明して、実際にやらせてみる。そして上手くいったら褒めあげないと人は動かない。そういう事ですか?でもそんなーー」

「子供じみたやり方、か?」

 ぐっ、と能代が黙り込む。確かに子供に物を教える様な、幼稚なやり方に見えるかも知れん。

「だがなぁ能代、人に物を教えるってのは大人だろうとガキだろうと大して変わらねぇモンさ。結局は同じ人だからな。ガキの頃に沢山物を教えるのは、頭が柔らかいから覚えが早いし、早い内に教えないといけねぇ事が沢山あるからだ」

 学生生活を終えて社会人になったって、仕事を覚えるという勉強が待っている。その時に物を覚える本人のやる気も大事だが、寧ろ教える側の方が大事だと俺は思っている。

「最初の内は出来なくて当たり前。寧ろ、少しでも進歩したら褒めてやる。人間だって動物だ、褒められて気分を悪くする奴は居ねぇさ。そうすれば意識するにしろ無意識にしろ、また褒められたいと頑張ろうとするんだよ」

「な、成る程……」

「ま、今のご時世それが出来る奴ってのは少ないだろうがねぇ」

「提督、能代……頑張ってみます!」

「そうか?まぁやってみな。相談にならいつでも乗るからよ」

 そう言って頭を撫でてやると、能代は嬉しそうにはにかんでいた。後日、炒飯以外は比叡クラスの飯マズだった阿賀野に料理を教えてくれと能代に泣きつかれたのは、また別の話。







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