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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章〜黒の装者達〜
第4節「胸に力と偽りと」
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瞳をした黒髪ツインテールの少女。

服装は、桜色のニットに黒のプリーツスカート。
こちらは切ちゃん、と呼ばれた金髪の少女に比べて少し背が低いものの、物静かな雰囲気を醸し出す。

金髪の少女は慌てて、調と呼んだ黒髪の少女のペンダントをネックの内側に隠す。
ちょうどその直後、駆け寄ってきた緒川が現れた。

「どうかしましたか? 早く避難を!」
「ッ!」

いきなり現れた部外者を、じーっ……と睨みつける調。
相手への誤魔化し、そして調が物騒な手段に出ないよう、彼女を庇うように前へ出る。

「あぁ、え〜っとデスね〜……この子がね、急にトイレとか言い出しちゃってデスね〜! あははは、参ったデスよ〜。あはははは〜……」
「えっ……。ああ、じゃあ、用事を済ませたら非常口までお連れしましょう」
「心配無用デスよ〜! ここいらでチャチャッと済ませちゃいますから、大丈夫デスよ〜!」

しどろもどろになりかけながら、金髪の少女は誤魔化し続ける。

「分かりました。でも、気を付けてくださいね?」
「あ、はいデス〜」

そう言って、緒川は会場の奥へと走り去っていった。
迷ったわけでもなさそうな様子、であればこの二人以上に優先すべきは翼の方だ。

やがて、緒川が離れて行ったのを確認し、金髪の少女は溜め息を吐いた。

「はぁ……なんとかやり過ごしたデスかね……」
「じーっ……」
「おっ? どうしたデスか?」
「わたし、こんな所で済ませたりしない……」
「……。さいですか〜……」

天然なのか、ボケなのか。
相方の空気の読めていない発言に、少女は苦笑いしながら肩を落とす。

「まったく、調を守るのはアタシの役目とはいえ、毎度こんなんじゃ身体がもたないデスよ〜?」
「いつもありがとう、切ちゃん」

少女の顔を覗き込みながら、調は静かに微笑む。

「それじゃ、こっちも行くとしますデスかね」

金髪の少女もまた調に微笑み返し、二人はそのまま走って行く。

向かう先は……翼とマリアが睨み合う、ノイズだらけのステージの方へと。

ff

観客が一人も居なくなったライブステージに、秋の夜風が吹き荒ぶ。

踏みつけられたチラシが舞い、静寂が会場内を支配する中、世界各都市へと中継されたままのカメラは、ステージの上に残る二人の歌姫を映していた。

「帰るところがあると言うのは、羨ましいものだな……」

人っ子一人居なくなった客席を見て、マリアはぽつりと呟いた。

「マリア、貴様は一体……」

だが、翼に声をかけられた瞬間、マリアの表情は再び厳しいものへと変わった。

「観客は皆、退去した。もう被害者が出る事は無い。それでも私と戦えないと言うのであれば──それはあなたの保身のため。あなた
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